建設業を支える「ドボジョ」の困りごととは? 建設現場の「女性活躍」に向け、ポイントは「相談できる女性の同僚や上司」

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   みなさんは「ドボジョ」という言葉をご存じだろうか? 建設業で働く女性技術者・女性職人などを表す言葉で、2010年代に登場して業界内ではかなり話題になっていた言葉である。

   そんな「ドボジョ」たちの実際の「働き方」はどうなっているのだろうか。建設業に特化した人材サービスを展開するウィルオブ・コンストラクション(東京都新宿区)が2023年3月16日に発表した「建設現場における女性活躍の取組実態調査」で、土木・建築業界で働く女性たちの実態を明らかにしている。

   ここ10年、建設業で働く女性の数は倍以上に増えているという。しかし、建設現場で働く女性の声を聴くと、女性同士で相談できにくい環境にあることや、設備がまだまだ足りないなどの実際の困りごとも多い――そんな実態が浮き彫りになった。

  • 建設業で活躍する女性が増えているそうだ(写真はイメージです)
    建設業で活躍する女性が増えているそうだ(写真はイメージです)
  • 建設業で活躍する女性が増えているそうだ(写真はイメージです)

建設現場で進む「女性用設備の設置」「性別に関係ない平等な評価」「休暇が取得しやすい環境」

   この調査は2023年1月24日から2月3日まで、オンライン上のアンケートで実施。調査対象は全国の建設現場で勤務する女性職員で、有効回答数は125人となった。

(ウィルオブ・コンストラクションの作成)
(ウィルオブ・コンストラクションの作成)

   まず、女性職員に「就業先の現場における女性活躍に向けた取組の有無」を聞いたところ、「ある」と回答した割合は「57.6%」、「ない」は「42.4%」となった。女性が働く過半数以上の建設現場では、何かしらの方策をとっていることがわかる。

(ウィルオブ・コンストラクションの作成)
(ウィルオブ・コンストラクションの作成)

   では、実際にどのような取り組みが行われているのか。これについては、「現場の女性用設備(更衣室/トイレ/休憩所)の設置・備品が充実している(女性用作業服の配布など)」が「38.4%」と最も多くなった。

   次いで、「性別に関係なく、現場では平等に評価してもらえる」が「28.8%」、「現場で休暇が取得しやすい環境づくりがされている」が「26.4%」、「現場でのセクハラ・パワハラなどのハラスメント防止対策がされている」が「20.0%」、「女性社員を増やしている」が「16.0%」となった。

(ウィルオブ・コンストラクションの作成)
(ウィルオブ・コンストラクションの作成)

   また、「就業先の現場の女性比率」について質問したところ、建設現場での割合は「女性1割」が「57.6%」、「女性2割」が「23.2%」で、これらをあわせると、80%以上の建設現場で女性職員比率は2割以下という結果が出た。

   これについて同社では

「厚生労働省発表の労働力調査によると、建設業界全体では10年前と比較して女性就業者数は約10万人増加したものの、職種別にみると女性就業者のうち70%以上が事務職で、技術者・技能者など現場勤務の女性就業者数はまだまだ少ないのが現状。本調査でも建設現場で就業する女性の少なさが浮き彫りとなった」

   とコメントしている。

現場での女性の少なさには「少し不安を感じる」 行政は「会社を超えて、女性が相談できるネットワーク構築」進む

(ウィルオブ・コンストラクションの作成)
(ウィルオブ・コンストラクションの作成)

   続いて、現場で働く女性に「女性活躍に向けた課題」を聞いたところ、「女性社員が少ない」(58.4%)、「女性のリーダーが管理職にいない、または少ない」(48.0%)の回答が約半数を占めた。

   このほか、「現場の女性設備・備品が充実していない」(22.4%)、「現場での研修制度が充実していない」(17.6%)、「現場でのセクハラ・パワハラなどのハラスメント防止に関する意識が低い」(14.4%)となった。

   最後に自由回答における「建設業界の女性活躍推進に対する意見」をみてみると、

「女性が少ないので、現場のことを相談しにくい時がある。今は女性の先輩がいるので相談しやすいが、次のプロジェクトでは女性が一人になったときに働きにくくなるかもしれないと少し不安を感じる」
「女性同士の方が相談しやすい内容などもあるし、女性の割合が少ないとどうしても男性よりの意見になる場面が多い」
「まだ女性管理職が少ない点も、女性の働きづらさが改善されない理由の一つだと思う」
「女性が自分しかいないので、自分一人だけのために設備・備品を整えてもらうことはなかなか難しい」

   などの意見が上がっている。

   これに対して、J-cast 会社ウォッチ編集部が国土交通省に話を聞くと、

「国土交通省では、都道府県建設業協会や地方建設業協会、専門工事協会、都道府県が主催する『女性部会』といった建設業で働く女性にかかわる団体の設立支援などを行っており、働く女性のネットワーク構築を進めているところ。
団体での女性同士の意見交換会やざっくばらんな座談会などの交流を通じて、建設業で働く女性が一人で悩まずに相談できる体制の支援に努めている」

   と話しており、建設業界の「女性活躍推進」における実際の取り組みも進んでいる。

   なお、この調査は2023年1月24日から2月3日までの間、オンライン上のアンケートを行った。調査対象は全国の建設現場で勤務する女性職員で、有効回答数は125人。

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