関東の桜も咲きほこり、春の行楽シーズンを迎えている。しかし、行楽地で子どもを遊ばせたいというご家庭には、頭が痛い調査結果が出ている。
帝国データバンクが2023年3月22日に発表した2023年春休みシーズン「テーマパーク」価格調査の結果がそれだ。
この調査によると、遊園地・水族館・動物園などを含めたテーマパークの4割がチケット値上げを予定していることがわかった。入場・入館チケットの値上げを予定しているのは、全国の主要な190施設のうち70施設に及ぶという。
原因はコロナ過による客足の減少と燃料や電気代、飼料などコスト高騰が響き、「値上げに踏み切らざるを得ない」という施設側の苦渋の決断があるそうだ。
帝国データバンクの担当者によると、人気の高い東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパン、富士急ハイランドなどは、人件費の上昇などもあって価格改定後も「強気」の値段設定で4月以降も営業していくようだ、と話していた。
チケット代平均価格...2022年の1654円から、1739円に上昇
この調査は、全国の主要な遊園地や水族館、動物園など計190施設のテーマパークにおける2022年から2023年4月時点の入場(入館)チケットの販売価格を調査するもの。ここでいう入場料とは、施設へ入館するために必須となるチケット代を示しており、1dayパスなどに付属する入場料も含めている。
結果をみてみると、190施設のうち、「入場・入館料の値上げ」を予定している施設は62施設となり、「乗り放題券などの値上げ」を予定しているのは8施設で、合わせて70施設(36.8%)が値上げを予定しているという。
チケット代の平均価格は2022年の1654円から1739円と85円の上昇となった。
値上げの主な要因...多いのは電気代のコストアップ 水族館・動物園では餌代の上昇も
値上げの主な要因は、電気、ガス、燃料、餌代・飼料、人件費の上昇といったコストアップだ。これが大きな重荷となっている。背景として、エネルギーや機械部品価格といった施設管理コストの上昇などがある。
コロナ禍で臨時休館や集客制限を余儀なくされていたテーマパーク側としては、集客力が弱まっているなかで、「値上げに踏み切らざるを得ない」と苦渋の決断をするところが多かったという。
価格改定の理由をみてみると、最も多かった要因は「光熱費の上昇」で27施設に上り、値上げ理由の7割を占めている。
特に、大規模な水族館、ジェットコースターなど遊具の稼働が多い遊園地などでは電気代の上昇で光熱費が前年から最大で1.5~3倍近くに上る施設もあるなど運営への影響が大きく、値上げに踏み切らざるを得なかった施設が多くあるようだ。
次いで多いのが「餌代・原材料の高騰」(19施設)、「物価高騰・その他」(12施設)だった。水族館では餌となる魚代、動物園では燃油代に加えて輸入肉類、乾草や固形飼料のペレット類など動物の餌代上昇などが価格改定の理由に上げられた。
各施設とも来館者を増やすことで、収入を増やす運営努力と、従業員フロアの電気代節約、移動の燃料代節約などでコストアップに耐えてきた。今後の見通しについて、帝国データバンクの担当者はJ-CAST 会社ウォッチに対して、「4月からのさらなる電気代変更によって5月以降の行楽シーズンにも影響を与えるかもしれない」と話している。
また、調査結果に地域差はほとんどないようだが、大規模テーマパークである東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパン、富士急ハイランドなどは、その人気と入場客の多さを背景に、「強気」の価格設定も見られるという。
というわけで、「お財布」にはちょっぴり厳しい春の行楽シーズンとなりそうだ。