大谷選手の価値は1350憶円に?! WBC直後に始まった「Ohtani」争奪戦...米メディア「ヌートバー選手がカギを握る」の大胆予測(井津川倫子)

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   野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で王者アメリカを下し、3大会ぶり3回目の優勝を果たした日本。なかでも大会を通じて「二刀流」を貫いた大谷翔平選手は、数々の名場面を残して大会MVP(最優秀選手)に選ばれました。

   大谷選手の気迫あふれるプレーの余韻が残るなか、すでに本国アメリカでは大谷選手のトレード話で盛り上がっています。

   シーズンが始まる前からずいぶんと気が早い話ですが、大谷選手の価値は「ビリオンダラー」に跳ね上がったとの声も。あるメディアは、「全球団からオファーが殺到するなかで、鍵を握るのはヌートバー選手だ」と、大胆すぎる予測を展開していました。いったい、どういうこと?

  • 大谷選手の「争奪戦」が始まる?
    大谷選手の「争奪戦」が始まる?
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異次元の愛されぶり「ビリオンダラー大谷」、全30球団からオファーが殺到?!

   今大会、優勝候補筆頭だったアメリカチーム。メジャーリーグを代表するスター選手をズラリとそろえて「史上最強軍団」の名声をとどろかせていました。

   大谷選手が決勝戦直前に、「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいる」と語ったように、まさに、「憧れのドリームチーム」だと言われていました。

   そんな「史上最強ドリームチーム」のまさかの敗退。全米が意気消沈しているかと思いきや、意外にも歴史に残る名勝負だったと、ほめたたえる報道が目につきます。

   最後のバッターとなった米国の主将マイク・トラウト選手と大谷翔平選手の「チームメート」が、そろって両国の国旗を掲げて入場するシーンから、すでに「鳥肌が立った!」と興奮するトーンであふれていました。

'Goosebumps' Ohtani and Trout lead Japan and USA onto the field at WBC final
(「鳥肌が立った!」大谷とトラウトがWBC決勝戦で、日本とアメリカを率いている:米メディア)
goosebumps:鳥肌
goose:ガチョウ

   それでも、メジャーリーグでチームメートとして活躍する選手が、それぞれの国を代表して戦うというドラマティックな展開以上に、米国人のハートを奪ったのは、「Ohtani」選手の異次元の活躍でした。

   米メディアは、敗退したショックを忘れたかのように、「Ohtani」の話題で持ち切りです! なかには、「『Ohtani』の価値はビリオンダラーに跳ね上がった!」との声も出ているほどです。

Shohei Ohtani really deserves a billion doller contract after his unreal WBC
(WBCでの非現実的な活躍の後、大谷翔平選手は本当にビリオンダラー契約の価値がある:USA Today)
deserve~:~の価値がある

   「billion doller」は「10億ドル」で、1ドル135円換算として1,350億円です! いくら大谷選手でも、さすがにビリオンダラーは非現実的だと感じますが、USA Todayは、「Ohtaniは、大リーグ打者の最高年俸と投手の最高年俸を足した2人分の年俸に値する」と断言。「Ohtani」ほどの怪物を獲得するためには、「10年契約でbillion dollerくらいのプレミアムは妥当な金額だ」と提案していました。

   USA Todayに限らず、米メディアは「Ohtaniが初の$500ミリオン選手になる!」「レッドソックスがOhtaniに$600ミリオンオファー!」と、シーズン前から移籍話で大盛り上がり。真偽のほどはわかりませんが、それだけ、大谷選手の市場価値がうなぎ上りになったことは事実でしょう。

   大リーグ30球団すべてが大谷選手にラブコールを送るだろう(米メディア)と、激しい争奪戦が予想されるなか、なんと、あのヌートバー選手が「大谷移籍のカギを握っている」という報道がありました!

   どういうことかというと、ヌートバー選手が所属するカージナルスのファンは、WBCですっかり大谷選手と仲を深めた同選手に、「大谷獲得」の希望を託している、というのです。

Cardinals fans convinced they'll land Shohei Ohtani after Lars Nootbaar WBC bromance
(カージナルスのファンは、WBCで育まれたヌートバー選手との友情で大谷翔平を獲得できると信じている:米メディア)

   ヤンキーズやメッツ、ドジャースなどの有名チームが巨額の移籍金でアピールすることが予想されるものの、スーパースターの球団選びは金額だけとは限らない。大谷選手が日本に近しい存在のヌートバー選手と一緒にプレーすることを優先して、カージナルスを選ぶ可能性がある。ヌートバー選手を擁するカージナルスは他球団に比べて「legitimate advantage」(まっとうなアドバンテージがある)、という主張です。

   残念ながら大谷選手が「友情」だけでチームを選ぶとは思えませんし、相当な希望的観測だと思います。それでも、大谷選手にひいきのチームのユニフォームを着てほしい、というファンの願いは理解できます。大谷選手の去就が、今シーズン一番の話題になることは間違いなさそうです。

以前は、観客席がガラガラ 「OhtaniがWBCを救った!」

   それにしてもなぜ、これほどまでに米メディアは「Ohtani」を絶賛するのでしょうか? あの高級紙ニューヨークタイムズは、次のように大谷選手の功績をたたえています。

Japan's Shohei Ohtani made the World Baseball Classic 'real'
(日本の大谷翔平選手のおかげで、WBCがやっと本物になった:ニューヨークタイムズ紙)

   ニューヨークタイムズは、今大会で5回目を迎えたWBCが、大谷選手の活躍やすばらしい決勝戦のおかげで、「must-watch tournament」(必見の大会)に昇格したと伝えています。

   じつは、2006年に始まったWBCは比較的歴史が浅いこともあり、サッカーのワールドカップやオリンピックと比べて認知度が低く、盛り上がりに欠けるとされていました。

   今では信じられませんが、2006年3月に東京ドームで行われた日本対中国戦の観客数はわずか1万6000人! 大会を通じた平均観客数が1万8900人と、今大会の満員の観客席がウソのような数字だったのです。

   当時取材をしたスポーツ記者は、「ガラガラの観客席を見つめる王貞治監督の姿が忘れられない」と書いていました(朝日新聞デジタル)。

   野球を愛する米国人としては、大谷選手や日本チームの活躍でWBCに注目が集まり、野球ファンが増えたのはうれしい限り。ニューヨークタイムズは、ようやくWBCが「in orbit」(軌道に乗った)と伝えていました。

   まるで違う惑星から現れたような大谷選手の活躍。勝負の勝ち負けを超えた大きな感動と喜びを、世界中の人たちに与えてくれたようです。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、大谷選手をたたえる表現の数々を取り上げます。メディアがありとあらゆる表現で、怪物ぶりを伝えています。

Ohtani is mythical god
(大谷は、神秘的な神さまだ)

Ohtani is two-way superstar
(大谷は、二刀流のスーパースターだ)

Shohei Ohtani is baseball's biggest star
(大谷翔平は、野球史上最大のスターだ)

   優勝後に行われた米フォックステレビのインタビューで、「小さいころに憧れていたメジャーリーガーは?」と聞かれた大谷選手。

   この時、コメンテーターとして同席していた2人の元メジャーリーガー、アレックス・ロドリゲス氏とデービッド・オルティズ氏の名前を挙げる「神解答」に、2人のレジェンドは大喜び!

   「Ohtaniに選ばれた!」とはしゃぐ姿に、球界の大先輩を虜にする大谷選手の「人間力」が伝わってきました。大谷翔平選手28歳。歴史に残る「ユニコーン」です。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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