どうしたFRB? 金融不安のさなか0.25%利上げ! エコノミストが指摘...「FRBも迷っている」「景気・物価・金融...3つの使命の同時達成は不可能か」

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3つの矛盾「トリレンマ」に直面、どうするFRB?

シリコンバレーの中心地、サンノゼの市街地
シリコンバレーの中心地、サンノゼの市街地

   FRBは「三重苦」の難しい袋小路に入る可能性がある、と指摘するのは野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「FRBの利上げは5月で終了か:3つの使命のトリレンマ状態が続く金融政策運営」(3月23日付)の中で、3つの使命の間で「トリレンマ状態」に入りかねないという。

   「トリレンマ」(3つの矛盾)とは、ジャンケンでグー、チョキ、パーが同時に勝てないような「3すくみ」状態を指す。

「今までは、景気の安定と物価の安定という2つの使命の同時達成を目指す両睨みの姿勢で金融政策を決めてきたが、金融システムの安定という使命の達成の重要性もにわかに重みを増してきた。そのため、政策決定のプロセスはさらに複雑化している」
「この3つの使命の達成は互いに矛盾する面もあることから、FRBはそれら3つを同時に達成することが難しい、トリレンマに直面する可能性があるだろう」
「今までも、物価の安定のために大幅な金融引き締めを続ければ、景気が犠牲になりかねないという矛盾にFRBは直面していた。しかしFRBは、異なる時間軸を用いることで、この矛盾を回避する説明をしてきた。それは、『物価安定確保のため金融引き締めを進めれば、短期的には経済に悪影響を与えるが、物価の安定確保は中長期的な経済の安定に貢献する』というものだ」

   しかし、「金融システムの安定」には、この論法は通じない。短期的な要素が強いからだ。物価の安定確保のための金融引き締めによって経済が悪化すれば、銀行の不良債権を増加させ、銀行不安を増幅させかねない。ひとたび信頼が失われてしまえば、金融システムの安定は一瞬で崩れてしまう。

   木内氏はこう結んでいる。

「インフレ警戒を強めるFRBが、この先、金融システムの安定確保のために、経済の安定を今までよりも重視するのか、そして金融システムの不安定化に対して、柔軟かつ機動的な政策対応を行うことができるかどうかに、金融市場は不安を感じているのではないか」

   さあ、どうするFRB?(福田和郎)

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