FRB自身も「迷っている」、メンバーの将来予想バラバラ
今後の予想については「FRB自身も迷っている」と指摘するのは、大和総研ニューヨークリサーチセンター主任研究員の矢作大祐氏だ。
矢作氏はリポート「FOMC 銀行不安の中でも利上げは継続 今後の金融引き締めは、信用収縮の程度次第」(3月23日付)の中で、今回のFOMCで参加者が示した政策金利見通し「ドットチャート」の前回(2022年12月)と今回(2023年3月)の変化図を示した【図表2】。
「ドットチャートの形状をまとめれば、2023年はややタカ派的である一方、2024年及び2025年は予想がばらついており、景気の不確実性が高いことも相まって、金融政策の見通しづらさを示しているといえよう」
FOMCのメンバーの間でも、今後の見通しについてバラバラの意見なのだ。こうしたことから、矢作氏はこう結んでいる。
「今後の金融引き締めに関して一言でまとめれば、信用収縮の程度次第ということである。景気の下振れが緩やかであれば、5月の次回FOMCで0.25%の利上げを実施し、その後は利上げ停止となるだろう」
「景気が急激に悪化するのであれば、QT(数量的引き締め=バランスシートの縮小)及び利上げの停止はもちろんのこと、金融緩和の可能性も考えられる」
「とはいえ、金融政策を緩和的な方向へと拙速に修正してしまえば、高インフレが残存するリスクは高まる。FRBは銀行不安と高インフレの間で板挟みになっており、当面の間は金融政策を取り巻く不確実性は高いままであることが想定される」