投資ファンドなどノンバンクがいっせいに火を噴くと...
こうした結果をエコノミストはどう見ているのか。
日本経済新聞オンライン(3月23日付)「NYダウ反落、530ドル安 銀行株が下げ主導」という記事に付くThink欄の「ひと口解説コーナー」では、みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏が、
「FOMC後の米国市場は『株安・債券高』。株式市場では利上げ見送り期待が意外に強かったのかもしれない。信用状況への目配りがFOMC声明文とパウエルFRB議長記者会見でしっかり示されたにもかかわらず、利上げ継続への失望感やそれによる景気・企業業績の悪化懸念から、主要株価指数は下げた」
と分析。そのうえで、
「一方、米債券市場では、今回の決定は『ハト派的な利上げ』という受け止めが多いようである。FOMC参加者の金利見通し『ドットチャート』が上方シフトしなかったこともあり、利上げ打ち止めが近付いたという見方が強まるなか、米国債は大きく買われた。信用状況のタイト化がどの程度で、実体経済にどこまで影響するのかが、大きな焦点である」
と指摘した。
同欄では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者が、
「単なる利上げ継続に対する市場のガッカリ感なのでしょうか。違うと思います。4.5~4.75%のFF金利に音を上げだした米地銀。利上げ後の4.75~5.5%は、長短金利の逆ザヤが一段と強まることを意味します。耐えられるのでしょうか。インフレ圧力と金融システム不安の深刻なジレンマ。預金の全額保護とFRBの流動性供与で地銀の連鎖破綻はひとまず防がれていますが、逆ザヤは時間の経過とともに重圧となります」
と、利上げが米地銀の経営を圧迫していると指摘。つづけて、
「パウエル議長は会見でSVB(シリコンバレー・バンク)の経営が特にひどかったと語っていますが、問題は銀行にとどまらない。投資ファンドなどノンバンクが火を噴いたとき、『nonbank run』(取り付け騒ぎ)。どう対処するのでしょうか」
と金融危機に警戒を示した。
ヤフーニュースコメント欄では、日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員の小山堅氏が、
「この一週間、原油相場も、金融市場の動向に左右され、大きく動いてきた。WTI(米国西テキサス産原油)は金融不安の中で、需給要因でも下押しされ、70ドルを割り込む安値となったが、昨日(3月22日)は久しぶりに70ドル台を回復した。しかし、この後も、まだまだ不安定な状況が続くだろう。市場関係者は米国の、そして世界経済の先行きを注目し、合わせて中国の動向をウォッチし続けることになる」
と、金融不安がエネルギー価格に影響を与えている現状を解説した。