株主還元や株式分割で生まれ変わる日本株
「週刊エコノミスト」(2023年3月28日号)の特集は、「日本株の大逆襲」。収益性や成長力の低さから投資家離れを招いていた日本株だが、積極的な株主還元や株式分割などで生まれ変わりつつあるという。
大日本印刷が2月に発表した「経営の基本方針」で、PBR(株価純資産倍率)1.0倍超の早期実現を目指す」という記載が市場関係者を驚かせた。
同社の昨年末時点のPBRは0.64倍と、1倍を下回る典型的な「割安銘柄」。しかし、アクティビスト(物言う株主)の米エリオット・マネジメントが1月下旬に大日本印刷株を取得したと報じられると、株主還元の増加の期待から株価が急騰していたという。
発表翌日、株価は前日比14%上昇。さらに3月9日に1000億円(発行済み株式の15.05%)が上限の自社株買いを実施すると発表、株価は一時、16年10カ月ぶりの高値を付けた。ほかにも、商社カナデンやシチズン時計も自社株買いを発表すると、株価が上昇した。
低PBRは日本株を象徴する指標だが、昨年4月の東証再編により、状況は変わったという。今後、低PBR銘柄が株主還元に本気になり、収益性も伴って株価が上昇すれば、日本株全体の底上げと持続的な成長につながる、と期待している。
このほか、株主還元の強化やファーストリテイリング、信越化学など、相次ぐ株式分割の背景、オリックスなどが廃止したが、個人投資家に根強く残る株主優待の最新事情をリポートしている。
第2特集の「チャットGPTのスゴい世界」も興味深い。実際に使ってみたら、要約のレベルの高さに驚いたという体験記、大量の事前学習と並列処理で自然な言語を生み出す技術解説が参考になる。話題先行で敬遠していたが、チャットGPTを使ってみよう。(渡辺淳悦)