BCP(事業継続計画)対策から、首都圏外へ拠点を設ける
振り返ると、コロナ禍の当初は、業績の急変などで、オフィス賃料などのランニングコストの高い首都圏から地方へと移転する動きが急増した。
当時、首都圏外へ移転した企業のうち、移転した年の売上高が前年から減少した割合は、2020年で57%と半数を超え、リーマン・ショック直後の 09年(61%)に次いで高かった。
一方で、現在は状況が異なり、ウェブ会議を活用したビジネススタイルやリモートワークなど、場所に縛られない多様な働き方が半恒久的な働き方として定着。そのため、従業員や勤務地、本社機能の集約する必要性が薄れるなか、これまで課題だったBCP(事業継続計画)対策としてのリスク分散として首都圏外へ拠点を設けるケースが増えている。
加えて、地方で新たなビジネスに挑戦したいといった前向きな移転需要を底上げ。本社移転には該当しないものの、首都圏の本社機能やワークスペースを削減、縮小して地方へ拠点を分散化する動きも、大手・中堅企業を中心として引き続き活発だった。