電動キックボード、7月から免許不要に だが、ヘルメット努力義務に賛否の声も

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   政府は最高速度が時速20キロ以下の電動キックボードの運転免許を不要とする新たな交通ルールを2023年7月1日から適用することを正式に決めた。

   改正道路交通法の施行日を定めた政令を3月14日、閣議決定した。これによって私たちの生活はどう変わるのだろうか。

  • 電動キックボードの普及は進むか?(写真はイメージ)
    電動キックボードの普及は進むか?(写真はイメージ)
  • 電動キックボードの普及は進むか?(写真はイメージ)

最高時速6キロ以下のものは、路側帯や歩道も走れるように

   これまで電動キックボードは道交法では原付きバイクに当たり、原則として免許やヘルメットが必要だった。バックミラーやナンバープレートなども必要で、走る場所も車道に限られた。

   7月1日から実施される改正道交法では、最高速度20キロを超えず一定の規格を満たしたものは運転免許が不要で、ヘルメットの着用も努力義務となる。ナンバープレートは引き続き必要だが、バックミラーは不要。車道はもちろん、自転車専用道などを走ることができる。

   また、最高時速が6キロ以下のものは、路側帯や歩道も走れるようになる。

   「一般的な自転車の利用速度や車体の構造、大きさが普通の自転車に相当する」(警察庁)ことから、電動キックボードは基本的に自転車に準じた扱いとなる。ただし、16歳未満は運転できない。

   これまで国内では特例措置として、シェアリングサービスではヘルメットの着用が任意となり、自転車専用道などの走行が認められてきたが、最高速度は時速15キロ以下に制限されていた。

   7月以降は特例措置が終了し、全国統一の新ルールに移行する。関係省庁やシェアリングサービス事業者などは新ルールを周知するためのガイドラインを公表した。

G20のうち「普及が進んでいないのは日本くらい」 推進団体が自主規制、普及に努める

   電動キックボードはここ数年、世界的にシェアリングサービスの広がりとともに普及した。世界の主要都市では個人所有のほか、レンタルの電動キックボードを多く見かけるようになった。

   米ニューヨーク・マンハッタンでは、通勤時間帯などに車道を走る電動キックボードの若者を見かける。大半はヘルメットを着用していない。国土交通省によると、G20(主要20か国・地域=先進7か国、欧州連合、新興12か国)では「普及が進んでいないのは日本だけ」という。

   日本国内ではスタートアップの「LUUP(ループ)」がシェアリングサービスを東京、大阪、京都、横浜、栃木の各都府県で行っている。スマホのアプリで予約し、「基本料金は50円、 利用料金は1分あたり15円」という。

   このほか、欧米で人気の「Lime(ライム)」や「BIRD(バード)」などの海外事業者が日本に進出。国内の「Mobby ride(モビーライド)」などの事業者とともに「マイクロモビリティ推進協議会」を2019年5月に設立し、自主規制と普及に努めている。

懸念される安全面...警察庁「悪質な運転への取り締まりは強化する」

   ただし、電動キックボードのヘルメットの努力義務化には、安全面から賛否の声がある。

   警察庁によると、電動キックボードの検挙・取り締まり件数は2021年9月~22年12月に1843件あった。内訳は「通行区分(違反)」が1032件で全体の56%を占め、「信号無視」が384件で21%、「一時不停止」が137件で7%などと続いた。

   2020~22年の事故件数は74件で、死亡が1人、負傷者は76人だった。全国唯一の死亡事故はヘルメットをつけていない男性が頭を強打したのが原因とされる。

   警察庁は「電動キックボードの事故が頻発していることから、悪質な運転に対する取り締まりを強化する」としているが、「原付バイクと同様、ヘルメットの着用は義務化してもよかったのではないか」とする識者もいる。

   政府は電動キックボードを「徒歩10~15分の移動に適し、二酸化炭素の排出量は自動車の約40分の1。英国では新型コロナウイルスの感染拡大を回避するため、『密を避ける移動手段』として、数年かけて議論するはずの法案が4か月で可決された」などと、今回の規制緩和で日本でも普及させる考えだ。

   果たして、電動キックボードの新ルールが功を奏すか注目される。(ジャーナリスト 岩城諒)

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