HIS株、4.9%高...赤字縮小を好感、業績回復に期待 「リベンジ消費」日本人の海外旅行増えるか?

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   旅行代理店大手、エイチ・アイ・エス(HIS)の株価が2023年3月16日の東京株式市場で一時、前日終値比94円(4.9%)高の2032円まで上昇した。

   前日に発表した2022年11月~2023年2月期(第1四半期)連結決算で、営業損益や最終損益の赤字額が前年同期に比べて縮小したことから、ウィズコロナ時代をにらんだ業績回復への期待が買いを集めた。

国内旅行事業は1割増えたが...海外旅行事業は燃油高騰、円安、日本発着国際線の正常化遅れなど逆風続く

   第1四半期の決算内容を確認しておこう。売上高は前年同期比37.4%増の461億円、営業損益は34億円の赤字(前年同期は121億円の赤字)、最終損益は35億円の赤字(前年同期は92億円の赤字)だった。政府の需要喚起策「全国旅行支援」によって取り扱いが増えた国内旅行事業が業績改善のけん引役となった。

   実際、コロナ前の2018年11月~2019年2月期と比べても、国内旅行事業の取り扱い額は1割超上回った。ただ、HISの本業とも言うべき海外旅行事業は燃油高騰や円安、日本発着国際線の正常化遅れという逆風もあり、厳しい状況を抜け出せていない。

   訪日旅行事業は欧米からの旅客が一定程度回復しているものの、ボリュームゾーンの中国からの旅客の回復が遅れている。こうした結果、旅行事業は売上高が前年同期比4.5倍の345億円、営業損益は31億円の赤字(前年同期は82億円の赤字)だった。

   ホテル事業は、全国旅行支援の効果もあって前年同期比3.2倍の40億円、営業損益は4600万円の赤字(前年同期は9億円の赤字)と改善した。テーマパーク事業はハウステンボスの売却により、売上高が前年同期比88.8%減の7億円、営業損益は7100万円の赤字(前年同期は10億円の黒字)と全体の収益を押し下げている。

証券会社レポート、回復基調の確認を評価も...通期黒字化は「下期の回復次第」

   SMBC日興証券は決算発表翌日に配信したリポートで「まずは回復基調が確認できたのは良かった」と指摘した。ただ、HISが目指している通期黒字化については「その達成は下期の回復次第」との見方を示した。

   コロナ禍で手元にたまったお金を使う「リベンジ消費」も見込まれ、日本人の海外旅行は増えると期待されている。しかし、円安などの逆風次第ではHISの業績が急回復とはいかない可能性もありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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