47都道府県別に見る「税金と福祉」...高齢者人口が多ければ、老人福祉費かさむ構造 東京都だけは例外的【俯瞰して見る日本(4)】(鷲尾香一)

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   シリーズ連載中の「俯瞰して見る日本」。第4回は、税金と福祉に焦点を当てる。税金は、都道府県で税額差の出やすい「住民税」と「固定資産税」を、福祉面では「老人福祉費」と「児童福祉費」を取り上げる。

1人当たり住民税...1位の東京都、最下位の秋田県とは3倍違う

   2019年度の1人当たり住民税では、東京都が24万円で圧倒的に高額だ。上位2位の愛知県の14万8000円を10万円近く上回っており、20万円台は全国でも東京都だけ。東京都は、最下位の秋田県の8万円の3倍の住民税額となっている。

   ただ、全国平均は12万9000円で、平均を上回っているのは4位の大阪府の13万3000円までで、それ以下は平均を下回る。これは、いかに大都市に所得の多い人が多く住んでいるのかを鮮明に表している。

   住民税は各地方自治体が徴収する地方税で、都道府県民税と市区町村民税を合わせたもの。税額は所得に応じて計算する「所得割」と定められた額の「均等割」を合計した額となる。したがって、簡単に言えば、所得の高い人が多くの住民税を払うことになる。

   上位10には、連載の第3回目で取り上げた1人当たり所得の上位10のうち、東京都、愛知県、静岡県、滋賀県、神奈川県の1都4県が入っている。

   また、下位10には、1人当たり所得の下位10のうち、沖縄県、宮崎県、青森県、鹿児島県、鳥取県、長崎県、高知県の7県が入っており、所得水準が住民税に反映されていることが明確にわかる。(表1)

   一方、2019年度の1人当たり固定資産税でも1位は東京都で11万3000円。上位2位の愛知県の8万5000円を3万円近く上回っており、10万円を超えているのは東京都だけ。東京都は最下位の長崎県の5万円の倍以上の固定資産税となっている。

   ただ、全国平均は7万3000円で、平均を上回っているのは9位の神奈川県までで、それ以下は平均を下回っている。これは、いかに東京都の地価が高いかの表れだろう。

   上位10には、連載の第3回目で取り上げた住居の消費者物価指数で上位10のうち、東京都、神奈川県、大阪府、静岡県、三重県の1都1府3県が入っている。

   また、下位10には住居の消費者物価指数の下位10のうち、秋田県、鳥取県、奈良県、北海道の1道3県が入っており、地価が固定資産税に大きく影響していることを表している。(表2)

   さて、住民税と固定資産税の関連性をみると、住民税上位10で固定資産税上位10に入っているのは、東京都、愛知県、神奈川県、大阪府、静岡県の1都1府3県。

   一方、住民税下位10で固定資産税下位10に入っているのは、秋田県、鹿児島県、長崎県、鳥取県、高知県の5県。やはり、住民税の多さ(所得の高さ)と固定資産税の多さ(地価の高さ)にはある程度の関係性があるとみた方がよさそうだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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