イマドキ共働き夫婦に多い「家計割り勘」...保育園送迎用電チャリ、どっちが買うかで大論争!「今からそれで、将来の教育費どうする?」...専門家に聞いた(2)

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   最近、若い共働き夫婦の間で、家事と家計を割り勘・折半にする「別財布」「別会計」方式がトレンドになっているが、そこにトラブル勃発!

   妻が、担当する保育園の送迎が大変ということで、貯金を多く持っている夫に「電チャリ(電動自転車)を買って」と頼むと、夫は「高すぎる、ママチャリで十分!」と断固拒否。そこで妻が「電チャリをねだるのは甘えでしょうか?」と訴える投稿をした。

   回答者の間では「電チャリは贅沢品か、必需品か」といった賛否と同時に、イマドキ共働き夫婦の「2つの財布」にも疑問が噴出。「今から電チャリ1台の購入費でもめて、将来の子どもの教育費どうする?」というわけだ。

   専門家に聞いた。

  • 共働き夫婦では「財布は別」も多いというが?(写真はイメージ)
    共働き夫婦では「財布は別」も多いというが?(写真はイメージ)
  • 共働き夫婦では「財布は別」も多いというが?(写真はイメージ)

「夫婦の見解相違は、財布の分け方よりもっと根本的なところにある」

   <イマドキ共働き夫婦に多い「家計割り勘」...保育園送迎用電チャリ、どっちが買うかで大論争!「今からそれで、将来の教育費どうする?」...専門家に聞いた(1)>の続きです。

――「財布の分け方よりも、もっと根本的なところにある」という川上さんのお話でしたが、電動自転車の問題ではない、と。そのことは後で詳しくお聞きするとして......。
論争の背景には、共働き夫婦における家事・家計の分担の問題があると思います。特に財布と家計を分けるといった、最近増えている「2つの財布」の問題に近い調査を、川上さんが研究顧問をされている「しゅふJOB総研」で行なったことがありますか。

川上敬太郎さん「財布の分け方の調査ではないのですが、仕事と家庭の両立を希望する主婦層に、ご家庭の収入を主に支えているのは誰なのかを尋ねたことがあります。すると、『配偶者またはパートナー』と回答した人が9割近くでした。

ご家庭の収入を主に支えているのは?

夫婦共働きが増えているとはいえ、世の中は夫が主に家計の収入を支えているケースが多いことがうかがえます。すると必然的に、家庭の財布は1つのケースが多くなるだろうと思います。一方、ご家庭の財布を分けている投稿者さんご夫婦は、どちらも正社員として働かれています。おそらくは、ご夫婦ともに経済的に自立されている状況なのだと思います。
統計を見ると女性正社員の数はジワジワと上昇傾向にあり、ここ10年で200万人以上増えています。その傾向を見る限り、今後、夫婦がほぼ対等の収入を得る家庭は増えていく可能性があると思います。そうすると、今後、投稿者さんご夫婦のように夫婦で財布を分ける家庭も増えていくかもしれません」

共働き夫婦「2つの財布」のメリット、デメリットは?

子どもが学校に行き始めるとお金がかかる(写真はイメージ)
子どもが学校に行き始めるとお金がかかる(写真はイメージ)

――たしかに、財布を分ける夫婦が増えているようです。女性も投稿に「周りはみんなそうしている」と書いていますし、ネット上では、「2つの財布」のメリット、デメリットといった情報が公開されています。そうした情報をまとめると、まずこんなメリットがあるそうです。

(1)独身時代と同じ感覚で、それぞれが自立して自由に使えるお金がある。生活費を差し引いた残高を自分の口座に貯金し、趣味や旅行、投資の資金にするなど、お互いに干渉されずに好きなことに使うことができる。
(2)それぞれが家計の各分野をはっきり分担するため、お互いに責任感が増して、管理・節約意識が高まる。たとえば住宅ローンや電気・ガス・水道代の「固定費」は夫負担、食費や日用品、子どもの習い事は妻負担と分けると、自分の責任分野で経費の節減に努めることになり、貯蓄も増える。

   この2つ目などは、どこか会社の事業本部制に似ていますね。

   一方、こんなデメリットがあるそうです。

(1)最大の欠点は、配偶者の収支がわからないので、家計の全体像が見えにくくなること。もし配偶者が借金を抱えていてもわからない。
(2)急な出費の際に困る。一緒に生活すると「予定外の出費」が頻繁に起こるもの。家族の病気・事故、親の介護、家電の損壊、自動車の故障、車検、友人・知人の冠婚葬祭、妊娠・出産......。こうしたことすべてに、事前にどちらの負担か決められるのか?
(3)不公平感がある。産休・育休や昇進、異動などによって収入に差が出てくるし、子どもの教育費が大きく増えてくる。時間とともに「俺/私の負担ほうが多くない?」と、不平不満が募っていきやすい。

   こういった弱点が挙げられます。

   そこで、デメリットの解決策として「第3の財布」を推奨する意見があります。2人の個人口座とは別に家計専門の共同口座を作り、主要な生活費用の支払いは共同口座から行う方法です。

「電チャリで子どもの安全が確保できるなら、贅沢ではない」

ママチャリでの送り迎えは大変(写真はイメージ)
ママチャリでの送り迎えは大変(写真はイメージ)

――ところで、回答者の中で多かったのは、いったん家計の役割分担を決めたのだから、電動自転車は妻が買うべきだという意見です。「バックのおねだりにたとえる態度は甘えている」「保育園の送り迎えはママチャリで十分、電気自転車は贅沢だ」という批判も多かったです。

川上敬太郎さん「ご夫婦それぞれの負担区分に沿えば、投稿者さんが買うべきものなのだろうと思います。その点、回答者の方々のご指摘はもっともですし、投稿者さんご自身も『本来の負担区分では私の担当となりますが』と書かれているように、その点は理解されているのではないでしょうか。
また、『電チャリが贅沢というのは分かるものの......』と書かれているので、贅沢だと感じているようです。ただ、毎日発生する送り迎えの負担を軽減するための道具が贅沢だとは、一概には言えないようにも思います。負担感は人によって異なりますし、体力もまた人それぞれ異なるものだからです。
お子さんを乗せるわけですから、最も重要なのは安全性だと思います。毎日の送迎で疲弊したり、体力を消耗して自転車がフラついて事故を起こしたりしては、悔やんでも悔やみきれません。もし、電動自転車の購入でそんな心配が回避できるのだとしたら、一概に贅沢とは言えないようにも思います」

――それとは逆に、いまや電動自転車は、洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食洗機と並ぶ共働き・子育て世帯の「4種の神器」だという意見もありましたね。

川上敬太郎さん「地域によっては、自家用車がないと買い物もままならない場合もあります。ただ、どんな移動手段が必要かは、かなり個人差があるもの。歩くのが好きで、2、3キロなら買い物でも平気で歩く人もいれば、100メートル先にある自動販売機でジュースを買うのでも車に乗るという人もいます。
電動自転車が『4種の神機』に該当すると思うかどうかは、その人の考え方や置かれている状況などにより、見解が異なってくるように思います」

――電動自転車を買うことを断固拒否している夫に対して、「残念な夫だ」「自分も送り迎えの育児負担をするべきだ」という批判が多く寄せられました。

川上敬太郎さん「批判している人の多くは、ご自身も電動自転車の必要性を実感したことがあるのではないでしょうか。その実感が他の人にも当てはまるかどうかはわかりませんが、少なくとも電動自転車の必要性を強く感じている人は、投稿者さんだけではないということなのだと思います」

「1つの財布」でももめている夫婦は多い、問題はそこではない!

家計の管理、どうしてる?(写真はイメージ)
家計の管理、どうしてる?(写真はイメージ)

――ところで、最も多かったのは「夫婦別財布」「折半という家計負担」のあり方に対する疑問です。「結婚している意味がないではないか」「電動自転車程度でもめたら、今後、どんどん増えていく子どもの教育費はどう分担するのだ」という疑問です。

川上敬太郎さん「回答者の方々が疑問視されているように、『夫婦別財布』というシステムの運用には難しさがあるのだと思います。しかし、だったら夫婦の財布を分けずに1つにしたり、共通の財布を用意したりすればうまくいくのかというと、それも疑問です。
『自分の方が稼いでいるのだから』とか『いやいや、自分のほうが家事育児の負担が大きいから』など、不満や不公平感などが心の奥底で渦巻いている間は、どちらがいくら入れるなど、やはり何らかのもめごとは発生してしまうように感じます。
投稿者さんと夫の見解相違の原因は、財布の分け方よりも、もっと根本的なところにあるのではないでしょうか」

――それが、最初に言われた「電動自転車の問題ではない」ということですね。

   このあとも、川上さんのアドバイスが白熱します――。<「イマドキ共働き夫婦に多い「家計割り勘」...保育園送迎用電チャリ、どっちが買うかで大論争!「今からそれで、将来の教育費どうする?」...専門家に聞いた(3)>にまだまだ続きます。

(福田和郎)

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