最近、若い共働き夫婦の間で、家事と家計を割り勘・折半にする「別財布」「別会計」方式がトレンドになっているが、そこにトラブル勃発!
妻が、担当する保育園の送迎が大変ということで、貯金を多く持っている夫に「電チャリ(電動自転車)を買って」と頼むと、夫は「高すぎる、ママチャリで十分!」と断固拒否。そこで妻が「電チャリをねだるのは甘えでしょうか?」と訴える投稿をした。
回答者の間では「電チャリは贅沢品か、必需品か」といった賛否と同時に、イマドキ共働き夫婦の「2つの財布」にも疑問が噴出。「今から電チャリ1台の購入費でもめて、将来の子どもの教育費どうする?」というわけだ。
専門家に聞いた。
生活費は、管理費・光熱費が夫負担、食費・日用雑貨全般が妻負担
話題になっているのは、女性向けサイト「発言小町」(2023年1月29日付)に載った「共働きの妻が夫に電チャリ(電動自転車)をねだるのは甘えでしょうか」というタイトルの投稿だ。
投稿した女性は、夫婦ともに20代で正社員、今年4月から保育園に入る子どもがいるという。現在、生活費を完全に割り勘にする「別財布・別会計」を実践している。それはこんな案配だ。
「生活費は、管理費・光熱費が夫負担、食費・日用雑貨全般・その他備品系諸々が私(妻)負担です。持ち家ですが、ローンは夫のほうが多く支払っています。手当金系は夫の口座に(保育料は夫負担の予定のため)、出産のお祝い金は子どものために全額貯金、一切手をつけていません」
「子どもの検診費用・マタニティーグッズ・出産費用・ベビーカー&ベッド等のベビーグッズ・内祝い等々、ここまですべて私が負担してきました」
「産休前は光熱費も私負担でしたが、さすがに苦しくなり、せめてそこはお願いしたい、と夫が負担してくれるように。自分で使う物だから自分で負担・せめて折半がよいと思う一方、これから保育園グッズ・私の新しいスーツ(産後痩せてしまい、産前のものが着られない)を購入する必要があり、まだまだ出費が続く...」
このように、「2つの財布」実践のために涙ぐましい努力を続けている。
4月から保育園が始まる。夫は「朝、起きられない」と送迎する気はない。保育園まで徒歩15分、アップダウン2か所。そこで、電チャリが必要と感じたわけだ。
「本来の負担区分では私の担当となりますが、中古でも5?6万円と高額だったので、私より貯金がある夫にねだってみました。が、高すぎる・電動である必要がない、と一刀両断」
「私も『フルタイムで戻るのだから体力を温存したい』『育休中で収入が減っている』と応戦しましたが、夫の意見は変わらず。実母に話したところ、『甘えるんじゃない』『電チャリなんて贅沢』『夫くんに謝りなさい』と怒られました」
そして女性は、
「送り迎えは基本私がするのだから、金銭面で援助してくれてもいいじゃんと思うのですが、間違っていますか? ブランド物のバッグをねだるのとは違うし、私は甘ったれでしょうか?」
と訴えるのだった。
「共働きで別財布なら、自分が使うものは自分が買うのがスジ」
この投稿に対しては、「家計を分けているのなら自分で買うべき」、「電動自転車は贅沢」と女性を批判する意見が寄せられた。
「共働きで割り勘ならば、ご主人が全額負担する理由ないでしょう。せめて、頼むにしても折半でしょう。あなたの態度からして『払って当たり前!』のように見えました。まだ1歳前後なら、電動なしでもいけると思います。大きくなるまでに自分でお金貯めて、電動自転車買ったらどうですか」
「共働きで財布別なら、自分が使うものは自分が買うのが普通。夫に買ってと言うのは違うと思います。ブランドバッグねだるのではないし、って違う話を混ぜるのはよくないです」
「『送り迎えは基本私がするのだから、金銭面で援助してくれてもいいじゃん』とのことですが、『保育料は夫負担の予定』なら、すでに充分に援助されていませんか?」
「双子とかなら普通の自転車だと重くてしんどいだろうとは思うけど、1人ならママチャリで充分では?」
電チャリ、洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食洗機は子育て4種の神器
一方、「電動自転車は今や、共働き子育て世代の必需品」「夫には育児に協力する姿勢が見られない」と夫のほうを批判する意見も多かった。
「電動自転車、洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食洗機は子育て4種の神器。家電や道具に任せられ、頼れることは生活必需品として使いましょう。電動自転車はとにかく家計から出すべし。贅沢品だというなら、贅沢だという人が全部送迎するべし」
「残念過ぎる旦那。旦那自身はまったく送迎に協力する気はなさそうですね。我が家は、保育園に通うようになる前に旦那から『共働きなのに送り迎えお願いするのだから、せめて電動の子乗せ自転車を買いましょう』と言って準備してくれました。どれだけ助かったことか。『じゃ、疲れた時はタクシー呼ぶから、タクシー代は払ってね』と、捨て台詞くらい言いたいですよね」
「電チャリぐらい買ってやれ! しかも中古。私は幼稚園の送迎用に電チャリ買ったけど、それでもしんどくて、車送迎になったわ」
「電チャリが贅沢で甘えているかというお話ですが、私は全然思いません。保育園って荷物多いですよ。それを15キロ近いお子さん乗せて、自分の仕事用鞄、保育園バッグ、園によっては、週末お昼寝用布団持ち帰りなどなど抱えながら漕ぐの? 無理ですよ」
電チャリ中古ごときで、どちらが出すかもめるというのも...
とりわけ多かったのは、投稿者夫婦に代表される「別財布・別会計」のあり方に対する疑問だった。「完全に折半するという家計の仕方が不思議だ」「別財布にするから面倒くさくなる。この際、家計を見直しては」というアドバイスが相次いだ。
「勘定科目別の夫婦分担はこの際やめたほうがいいですよ。理由は、変動費が子どもの成長によってウナギ上りに急騰して不公平感が増えやすいからです。しかも、ただでさえ男性優位社会において、妻が送迎時短や育休を取得するとなったら収入比はどんどん広がります。収入比で拠出し合って、各科目へ配分したほうが平等でよいです」
「電動自転車の中古購入費ごときで、夫婦のどちらが出すかもめるレベルの収入なのに、子どもが生まれた後もわざわざ別財布にする意味がわかりません。離婚時のリスク管理のためですか?
これから育児でどんどん出費が増えるけど、毎回そうやってどっちが出す、出さないでもめるのですか? 育児のための必要経費を自分の財布から出したくないから配偶者に出させる、とか次元の低い押し付け合いをしていて、ちょっと意味がわかりません」
「別財布なら家事分担もしているよね? 子供の送り迎えはあなたの仕事? 旦那様はしないの? しないならその分経費として出してくれてもよさそうだけど。行きはあなたで、帰りは旦那様という風に送迎も分担したら?」
「お子さんがいて、折半ってどうやっているのか不思議で仕方ありません。育休中で育児している間も生活費を折半しているのですか? 送り迎え云々の前に、育休中なら育児を妻にお願いしているのですから、収入が減った分は夫が負担すべきではないのでしょうか? とても驚きます。不公平じゃないですか?」
「所有権が夫の電動自転車をあなたが借りるということになるのかな? 『送り迎えは基本私がするから、金銭面で援助してくれてもいいじゃん』と書かれていますが、旦那さんからすると、そこは『ローンは僕が多く支払っています』で相殺なのでしょう。家事育児の量の差は全部これで埋める気だと思います。割り勘・別財布を望む夫が妻におごるなんてありえない。たとえ妻に対してでも、『自分が損したくない』から割り勘・別財布を主張していると思うので」
そして、最後にこんな提案をする人も。
「家計の見直しをおすすめします。たかが電動自転車10万円でもめるのですから、子どもが成長したらもっともめますよ。学校の修学旅行代金&お小遣い、習い事の備品代&買い替え費用、部活の遠征費、子どものスマホの機種変代、塾の夏期&冬季の講習費用などなど中学でも数十万円です。受験前の塾費用は年間総額100万円なんてザラです。それを夫婦折半で払うのか?という話です」
J‐CAST 会社ウォッチでは、家事と家計を折半にする「別財布」「別会計」の共働き夫婦に勃発した電動自転車購入をめぐる論争について、働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。
――率直に言って、今回の投稿と回答者のさまざまな意見を読み、どんな感想を持ちましたか?
川上敬太郎さん「投稿者さんは、夫に電動自転車を買ってほしいと願うことが甘えなのかどうか悩まれているということですが、本当の問題はそこではなく、別にあるような印象を受けました。
投稿内容を見る限り、投稿者さんと夫の見解相違の原因は、財布の分け方よりも、もっと根本的なところにあるのではないでしょうか」
このあとも、川上さんのアドバイスが白熱します――。<イマドキ共働き夫婦に多い「家計割り勘」...保育園送迎用電チャリ、どっちが買うかで大論争!「今からそれで、将来の教育費どうする?」...専門家に聞いた(2)>に続きます。
(福田和郎)