さまざまな大学出身のビジネスパーソンがいるなかで、最も「社長」を輩出している大学はいったいどこだろうか?
東京商工リサーチが2023年3月10日に発表した2022年版「全国社長の出身大学」調査の結果をみると、社長の出身大学は日本大学が12年連続のトップとなることがわかった。
地域や上場非上場の区分で見てみると、東日本は日大、西日本では近畿大学や同志社大学など地元大学、上場企業では慶応大学出身の社長が多い――そんな傾向も明らかになった。
日大出身社長は2万人越え 東大は国公立大唯一のトップ10入り
この調査は東京商工リサーチの約400万社ある企業データベースから代表者データを調べ、公開された出身大学を抽出し、集計したもの。
結果をみてみると、トップ3は日本大学(2万609人)、慶應義塾大学(1万588人)、早稲田大学(1万407人)の順になった。日本大学の2万人越えでトップ独走は12年連続となり、2位以下を引き離した。
また、2位の慶應義塾大学は1万588人になり、8年連続で2位を守った。3位の早稲田大学は2位と僅差の1万407人で、早慶両校で毎年競い合っている。
このほか、上位20位までに東京6大学すべてが入った。一方、西の私立校の関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)の4大学も20位までに並んでいる。
国公立大学では東京大学が4年連続で10位入りし、京都大学は3年連続で20位に入った。国公立大学では上位30位までに、大阪大学(2390人/22位)、北海道大学(2224人/23位)、九州大学(2045人/27位)、東北大学(1922人/29位)、30位には神戸大学がランクインした。
続いて、上場非上場の区分けでみると上場企業(地方上場含む)では慶應義塾大学が288人で1位に入り、2位が早稲田大学227人、東京大学210人、日本大学103人、京都大学97人と並んでいる。
東日本は日大出身社長が多く、西日本では地元国立大学が健闘!
引き続き、都道府県別の区分けで見ていくと、日本大学が35都道県で3位以内に入り、うち18都県でトップとなった。
東日本では、日本大学が18都県でトップを占めた。全国26校の付属高校から企業経営者の子息、子女が大学に進学し、事業承継で社長に就任するケースもあり、各地の社長トップにつながっている、と東京商工リサーチは分析している。
一方、西日本をみてみると、日大出身者がトップを占めたのは香川県、高知県、宮崎県の3県。詳細にみると、県内あるいは同じ地域の大学がトップに立った。
西日本では地元の国立大学が健闘し、26府県のうち、半数の13県で地元校から社長を輩出している。地元大学出身者の社長が多い東日本の都市は、北海道、新潟県、三重県の3道県にとどまっており、対照的な結果となった。
また、出身社長数の上位100校を対象に、経営する企業の直近2期の売上高と当期利益を比較した。すると、増収企業の社長の割合はトップが鹿児島大学、次いで筑波大学、広島大学の順で上位20位まで国公立大が独占。
増益した企業をみると、社長の出身校は徳島大学、新潟大学、鹿児島大学の順番になった。増収増益を達成した割合は新潟大学、鹿児島大学、広島大学の順で高かった。
国公立大学の出身社長の企業は、手堅いかじ取りによって上場企業、地元企業を問わず、事業基盤を安定させている傾向が明らかになった。
なお、調査は同社の企業データベース約400万社のデータを集計したランキングとなっており、同一人物が複数社の企業で社長を務める場合、売上高1位を集計対象とした。調査は2010年からはじまり、今回で12回目となる。