「なりたい職業ってなんですか?」と聞かれて、あなたはどう答えただろうか? 調べてみると、平成のはじめごろの子どもは「プロ野球選手」や「幼稚園の先生」「警察官」「看護師」「パイロット」などの答えが多かったのだが、では令和の子供たちのなりたい職業っていったい何だろうか?
そんな疑問に答えるよう、第一生命保険(東京都千代田区)が「第34回大人になったらなりたいもの」調査の結果を2023年3月16日に発表した。男子は小・中・高校ともに「会社員」が三年連続の1位となり、女子も三年連続で「パティシエ」が1位に輝き、不動の人気を誇っている。
一方でランキングをみてみると、「漫画/イラストレーター」が小・中学校の女子の2位にランクイン、小・中・高校男子と高校生女子では「学者/研究者」がランクインするなど、時代を反映してか、社会問題や環境問題を解決するSDGsにかかわる職業への注目度が高い。
憧れの業界1位は「科学技術・ものづくり」! 興味のある業界に「鉄道」「自動車」「商社」も
この調査は例年、第一生命保険が小学生、中学生、高校生3000人を対象に行うもので、第34回「大人になったらなりたいもの」アンケート調査はインターネットで、2022年12月に実施した。
ランキング結果をみてみると、小学校男子のなりたい職業1位は「会社員」(10.5%)、2位は「Youtuber/動画投稿者」(9.0%)、3位が「サッカー選手」(7.4%)となった。 主催者の分析によると、「2022FIFAワールドカップ」で日本代表がベスト16に進出することが影響したものらしい。「あなたがあこがれの人は誰ですか?」の設問でも、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手や三苫薫選手が挙がるなど、子どもたちに強い影響を与えた。
小学生女子のランキングをみると、3年連続の堂々の1位は「パティシエ」(10.5%)となり不動の人気を誇っている。以下、2位は「漫画家/イラストレーター」(8.7%)、3位は「会社員」(6.7%)などとなっている。
同社の分析では、前回10位だった「漫画家/イラストレーター」が順位を伸ばしたのは、「鬼滅の刃」の映画がヒットしたことや「SPY×FAMILY」が流行語にノミネートされるなど、世の中の大きなトレンドを生み出す漫画・アニメの仕事への憧れがあるのではないかとみている。
続いて、中学生男女・高校生男女の結果では、すべての1位に「会社員」が並んだ。 このほか、中高生・男子と高校生・女子で「学者/研究者」がそれぞれ6位(4.9%)と5位(3.9%)、9位(3.3%)に新たにランクインした。コメントでは
「数学や天文学など興味のある学問を究めたい」
「母が病気で亡くなったので薬の研究・開発をしたい」
「高校でSDGsを学び、未来の海洋資源のために役立つ研究をしたいと思った」
など具体的な夢を聞くことができた。
次に、「会社員としてどんな仕事がしてみたいか」という興味のある業界について質問した。多く人気を博したのが「科学技術・ものづくり」という結果となり、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和がかかわっているのか、「旅行・レジャー(テーマパーク含む)」が上位にランクインした。
一方、中高生で人気だった回答は「商社」で中には、「いずれは自分でいろいろ考えて起業したい」という、キャリアデザインを描いている子どももいたようだ。
憧れの人1位はすべてで「両親」に 親は「子どもの好きなこと・得意なことを伸ばしてあげて」
調査の一環として今回は「憧れの人」についても質問した。すべての年代で「お父さん・お母さん」が1位となり、コメントには
「一番身近なヒーローだから」
「イラストレーターになりたいと話したとき、どういう仕事でなるにはどうしたらいいのか熱心に教えてくれたので」
「いつでも味方になってくれて頼もしい」
「父も母もたくさん愛情を注いでくれて、私もそんな親になりたいから」
など、家事や仕事をする背中をみたり、将来について考えてくれる姿などに一番身近な尊敬できる人だという意見が挙がった。日頃、なにかと叱ってしまいがちな、お父さん、お母さん安心してほしい。
これらの調査を受けて、第一生命経済研究所の的場康子さんは
「『会社員』を選んだ子どもたちの間でも『科学技術・ものづくり』の分野が人気です。子どもたちにとっての『科学技術・ものづくり』とは、当然、デジタル技術の活用が視野に入っていることでしょう。少子高齢化による労働力不足など、わが国は深刻な問題を抱えていますが、AI やロボットなどデジタル技術はそれらを解決する可能性を秘めています。子どもたちには『新しい景色』が見えているのかもしれません。AI を使いこなし、それを人々のウェルビーイングの実現のために活用する。そのような未来に向けて、子どもたちの新しい視点・発想力を活かしていくことができれば、世界をリードする企業が生まれることが期待できます」
「もう一つの注目点は、子どもたちの『憧れの人』です。すべての年代で『お父さん・お母さん』が第1位です。『子どもは親の背中を見て育つ』と言われますが、多くの子どもにとって親の存在はとても大きいようです。 子どもたちの一番身近にいる親も、自らの価値観・固定観念をアップデートし、子どもたちが好きなもの、得意なものを尊重して育てることが重要です。そのようにして子どもたちの潜在能力を最大限に伸ばすことができれば、現在の延長線上ではない新しい未来を創造する力につながることでしょう」
とのコメントを出している。
なお、この調査は2022年12月中に実施され、小学校3年生以上の中・高校生3000人を対象にインターネットアンケートで実施された。