3つのシナリオ、最悪はリーマンショック級だが
米国の銀行破綻ショックはどこまで広がるのだろうか。3つのシナリオを予想して分析するのが、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏のリポート「米SVBショックはどこまで広がりいつまで続くか」(3月15日付)によると、シナリオは次の3つだ。
(1)米金融当局が3月12日に発表した施策(SVBなどの預金の全額保護など)が奏功し、数日から数週間で動揺がおさまる。
(2)動揺がおさまらず、破綻する銀行が相次ぐ。FRBが、流動性供給の対象拡大、供給手法の多様化、一時的な金融緩和をするなど、米金融当局がもう一段の対応を迫られる。期間は数か月と想定される。
(3)破綻する銀行が米国内で一段と広がり、他国にも飛び火して、リーマンショック並みの世界的な金融危機に発展する。米国では銀行の再編が進み、公的資金の注入の事態も考えられる。また、他国でも流動性供給や金融緩和が行われ、中央銀行同士、通貨スワップで米ドルを融通し合う展開が予想される。金融市場の混乱が収束するまで数年を要する。
ただし、市川氏はリーマンショックの背景とSVBショックとは明らかに原因が異なるため、3つ目のケースの恐れは小さいとして、こう結んでいる。
「事態は1つ目のケースでおさまるか、2つ目のケースに至るか、ということになりますが、1つのカギを握るのは、やはり銀行株の動向です。米国では昨晩(3月13日)、いったん反発しており【図表2】、これが底入れにつながるか注目されます。(中略)目先は銀行株中心に、慎重な見極めが必要と思われます」