今週は3誌とも「株」特集、仕込みの好機? ダイヤモンド「強い株」、東洋経済「米国株&日本株」、エコノミスト「長期で選ぶ米国株」を特集

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

新NISAの7つのポイント

   3月13日発売の「週刊ダイヤモンド」(2023年3月18日号)の特集は、「悪い金融商品に騙されない! 強い株」。読者がわなにはまらないための投資術を伝授したうえで、国内外の「強い株」を大公開している。

   投資信託には、「為替ヘッジあり」を選べる商品があるが、デメリットが多いと指摘している。「為替ヘッジは必要ない」という専門家が挙げる理由は2つある。1つは、ヘッジコストを支払ったうえで、通貨分散効果を打ち消してしまうこと。もう1つは、ヘッジコストでリターンが大幅に減ることだ。

   以上のことから、為替ヘッジ付きの投資信託は、必要以上に円高を恐れる人を安心させるための金融商品であり、つかの間の安心を買うための「見えざるコスト」は、あまりに大きいと、まとめている。

   2024年から生まれ変わるNISA制度。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠を同時に利用できる。以下の7つのポイントをアドバイスしている。

1 今後5年、10年以内のライフイベントの棚卸しをする
2 つみたて投資枠では低コストのインデックス投信を積み立てる
3 非課税枠のフル活用を意識しつつも、リスクの取り過ぎに注意
4 iDeCo(個人型確定拠出年金)も活用する
5 成長投資枠では「使いながら増やす」ことも意識する
6 債権も組み入れたバランス型投信も検討する
7 高コスト投信や有名投信にだまされない

   新NISAは恒久化されているので、焦る必要はないという。積み立てする商品は、現役世代であれば、1本で世界の株式に分散投資ができる「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動した全世界株式のインデックスファンドが王道だ。具体的には、信託報酬が低いeMAXIS Slim全世界株式などが候補になる。

   成長投資枠では、個別株やアクティブファンドへの投資も可能だ。ただし、「ファンドマネジャーが有名だから」といった理由で、アクティブファンドを選ぶのは避けるべきだという。

   日本株の成長株ランキングが興味深い。5年で業績を大きく伸ばした企業ランキングの首位は、ソフトウェア品質保証事業のSHIFT。上場来の株価上昇率は約16倍と、日本有数の「クオリティグロース株」として知られる。

   上位勢には「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「人手不足」「賃上げ」という3つのキーワードに関連する企業が多いと分析している。

   過去5年の増収率が高く、今後も高成長が期待できそうなテンバガー(10倍株)候補の1位には機能性食品などの開発・販売のファーマーズ、2位には組織経営コンサルティングを手掛ける識学、3位には人材管理システムを展開するカオナビが入った。

   まだ小型株で荒削りな分、相対的にリスクは高いが、こうした優良なスター候補をポートフォリオの一部に組み込むことは十分検討に値するだろう、と推奨している。

「日米二刀流」でお宝銘柄を発掘

   「週刊東洋経済」(2023年3月18日号)の特集は、「株の道場 米国株&日本株」。「会社四季報」2023年2集春号、「米国会社四季報」23年春夏号の予想をもとに、「日米二刀流」でお宝銘柄を発掘している。

   利上げの逆風で足踏みが続く米株価。つられて日本株もボックス圏が続いている。しかし、3月17日発売の「会社四季報」2023年2集春号によると、国内上場企業全社計の来期営業利益は前期比14.4%増と、前期実績の12.1%増、今期予想の9.6%増から加速する見通しだ。

   業績記事の見出しも「上向く」「反発」といった業績回復、「連続最高益」「最高益」といった好調さを示す言葉が多いという。全業種の純利益を業種別に見ると、来期増益は25、減益は8と増益が上回る。

   今後の株価をどのように見通せばいいのか、証券会社やシンクタンクのストラテジスト、エコノミストが今後の日経平均株価とダウ平均を予想している。

   日経平均については、回答者6人のうち3人が「12月の高値」を見込んでいる。SMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは3万2000円、野村証券の池田雄之輔チーフ・エクイティ・ストラテジストと東海東京調査センターの長田清英チーフストラテジストは3万1000円の高値とする。

   安田氏は、年後半にはFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ姿勢が転換されると読む。また、池田氏も「世界的なインフレの沈静や中国のゼロコロナ政策解除」も、日経平均上昇の理由として挙げている。

   一方、「4月高値、年後半に向けて下落」と逆の予想をするのが、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストと智剣・Oskarグループの大川智宏CEO兼主席エコノミストだ。井出氏は、高値が4月の2万8500円、安値が7月の2万5000円と予想する。

   「春にFRBの利上げ停止が確実視され市場心理が改善する。だが、年央にかけて日銀の緩和縮小と米国景気減速、円高が逆風になる」と指摘。高値が4月の2万8000円、安値が10月の2万3000円とする大川氏も、「米国の景気後退が年央から深刻化し始めると想定。世界的な景気後退に巻き込まれる形で、日本も本格的な株式市場の下落局面へと突入する」と見ている。

   ダウ平均予想は回答した5人のうち4人が「12月の高値」を見込んでいる。大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは、「年後半にかけてFRBの利下げ期待がより強く醸成されていくことで、再び金融相場がやってくる」と見ている。「年後半の上昇局面に備え、じっくりと銘柄を選びたい。遅くとも年前半にはエントリーを済ませておく必要がある」と助言している。

   「会社四季報」春号から、最高益更新ランキング、純利益上方修正ランキングなど10のランキングを紹介している。

   また、米国株についても、1000社ランキングで次のGAFAM株を発掘しようと、テスラなどを推奨している。米国株投資のQ&Aも参考になるだろう。

GAFAMとテスラ、割安に投資できるチャンス

   「週刊エコノミスト」(2023年3月日号)の特集は、「長期で選ぶ米国株」。金利上昇懸念で軟調な今こそ、米国株を長期に仕込む絶好の機会だというのだ。

   マネックス証券チーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎氏は、「前半は少し軟調だが、後半は反発し、S&P500種で4300ポイントまで上昇する」と見ている。構成銘柄の業績が今年の第3四半期から前年比でプラスに転じると予想されるからだ、と説明する。

   米国を象徴するGAFAMとテスラの株価下落は成長銘柄に割安に投資できるチャンスだとしている。

   楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫氏は、米国の半導体・AI関連株について、サーバーとEV(電気自動車)用がけん引し再成長、再上昇のサイクルに入ると見ている。

   データセンター向けは軽い在庫調整の一方、自動車は堅調で、全体では年後半からの市況回復が期待されるという。

   石油メジャーの動きについて、在米ジャーナリストの岩田太郎氏は「エクソンは手元資金10兆円をクリーンエネルギーに投資。脱炭素時代に皮肉にも石油メジャーが最高益を更新」とリポートしている。

   ちなみに、米国株の取引手数料が0円のDMM.com証券、1000円から米国株に投資できるPayPay証券などの説明は参考になるだろう。また、米国株に投資する主な投資信託の一覧を掲載している。

   はからずも、ビジネス誌3誌が同じ週に株の特集を組んだ。株価が下落している今こそ、仕込みの好機ということだろうか。(渡辺淳悦)

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