日本経済、先行きに暗雲? 1~3月企業景気予測が悪化、エコノミストが指摘「世界経済の悪化で、製造業の生産や輸出が減速...」

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製造業は5期連続マイナス、景況感の悪化が続く

   こうした結果をエコノミストはどう見ているだろうか。

   「海外景気悪化の影響を受け、大企業製造業の企業マインドに下押し圧力がかかり、先行きに慎重になっている」と指摘するのは、第一生命経済研究所の副主任エコノミスト大柴千智氏だ。

   大柴氏はリポート「法人企業景気予測調査(2023年1-3月期)~製造業で先行き慎重姿勢が窺える内容に~」(3月13日付)のなかで、「景況判断BSIは季節性が出やすく、また、前期から改善したか、悪化したという方向性の回答のため、景況感を把握するには季節調整値を見るのが適している」として独自に指数を算出、グラフを作って分析した【図表】。

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(図表)景況判断BSI(大企業、季節調整値)(第一生命経済研究所の作成)

   すると、大企業製造業の景況感悪化が際立ったという。

「季節調整値でみると、大企業全産業でプラス1.2(10~12月期:マイナス4.7)、大企業製造業でマイナス4.6(10~12月期:マイナス9.6)、大企業非製造業でプラス4.0(10~12月期:マイナス2.4)となった。大企業非製造業で景況感が改善したことで、大企業全産業もプラスに転じた」
「その一方で、大企業製造業では5期連続のマイナスとなり、景況感の悪化が続いている。米国の金融引き締め長期化による海外景気の悪化懸念を背景に、輸出や生産が減速していることが企業マインドを下押ししているとみられる」

   また、2022年度の売上高計画と経常利益計画(除く金融保険業)をみると、ともに全産業では前回(10~12月期)に比べ、やや上方修正となっているが、業種別にみると、非製造業は上方修正なのに、製造業は下方修正となっており、製造業に下押し圧力がかかっていることがわかる。

   そして、2023年度の設備投資計画を見ると、前年度に比べて製造業がプラス20.1%、非製造業がプラス2.9%と、2023年度に引き続き強い投資計画となっており、企業の設備投資意欲が衰えていないことが示唆される。この点は内閣府・財務省の発表どおりの傾向だ

   しかし、大柴氏はこう指摘するのだ。

「製造業を中心とした景況感や利益計画の悪化を踏まえると、設備投資計画の強さを額面通りに受け取れないだろう。上述の通り、2022年度の経常利益計画は製造業が下方修正となったほか、2023年度の利益計画は全規模全産業でも同マイナス1.2%と減益計画となっている」
「米国の金融引き締め長期化による海外景気の悪化懸念から輸出や生産の減速が予想される中、製造業を中心に設備投資の原資となる企業収益について厳しさを増すことが予想される。国内景気が緩やかに回復することで非製造業の持ち直しが期待できることから、先行きの設備投資は均せば増加傾向が続くと予想するものの、海外経済減速の下押しで増勢は鈍化する可能性が高いだろう」

(福田和郎)

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