2024年春に入学する子どもを対象にしたランドセル商戦が早くも始まっている。
さまざまな商品の値上げラッシュが続くなかで、ランドセルにも割安感を感じさせる定額制のサブスクリプションサービスが登場。さらに、「多様性」や「エコ」など時代をとらえたコンセプトの商品も多く、ランドセル選び=「ラン活」は例年以上に盛り上がりを見せつつある。
10年前に比べ、約1万6000円値上がり ここ1~2年は原材料高の影響も
総務省の調査によれば、ランドセルの価格は21年で4万9565円と、10年前より約1万6000円も値上がりしている。
この1~2年は原材料高でさらに価格が高まる傾向があるという。
コクホーのサブスクサービスは割安で活用できることから、「費用を抑えられてほっとした」などの声が寄せられているといい、関心も高い。
「その都度、気に入ったものに変更できるので安心」などの声もあり、コクホーは「ランドセルも『所有するもの』から『利用するもの』へと価値が変わっている」としている。
軽くて丈夫、タブレット収納にも適した「大容量」 リサイクル素材で「環境にやさしく」
近年、小学生の「重すぎるランドセル」問題への批判が強まっている。
教科書などを入れたランドセルは5~6キログラムになることもあると言われている。最近ではこれに加え、デジタル教育が進んでいることでタブレット端末を持ち歩く子ども増えており、その負担は増しているに違いない。
そこで、ランドセル各社は軽量化に力を入れてきた。
たとえば、ランドセルメーカーのセイバン(兵庫県たつの市)は「軽量」や「丈夫さ」に加え、タブレットなどの収納にも適した「大容量」の機能も備えたランドセル「スゴ軽(かる)」をPRしている。肩ベルトと背中や肩が密着するような構造にするなどの工夫をこらし、体感重量を軽減するものだ。
また、各社とも多様性のトレンドを重視して、さまざまな色を取りそろえており、数十色のランドセルが並ぶ売り場も多い。
色やデザインのさまざまな組み合わせを提案している流通大手イオンはスクールリュック「ラクルスタイル」を発売した。「重いランドセルより手軽なリュックでいいのでは」という声が増える中、「ラクルスタイル」は従来のランドセルより約3割軽いものもある。そのうえ、本体の素材には、ペットボトルをリサイクルしたポリエステルを使用している。環境にもやさしいうえ、価格は1万円台半ばからと、お財布にもやさしい。
少子化に伴い、子どもにできるだけ好きなものや良質なものを使わせたい、という親や祖父母の思いは強まる傾向にあり、ラン活は年々激しくなっている。今後も新たなサービスや商品が登場しそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)