経験少ないけど「ニーズ高まる」ITエンジニアに転職したい! 企業側はどれくらい受け入れたいものなのか?

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   人材不足が叫ばれる昨今ではあるが、企業におけるITエンジニアの人材獲得が過熱している――。

   転職サイト「doda」を運営するパーソルキャリア(東京都千代田区)が2023年3月1日に発表した「dodaビジネスパーソンと企業の転職意識ギャップ調査 第5回『ITエンジニア職』」によると、「エンジニア(IT・通信)」の求人倍率はコロナ前の2019年1月と比べて約11.2倍にまで伸び、デジタル化やDX化推進のための採用ニーズが高まり続けているという。

   一方で、ITエンジニア職未経験の求人の割合も約3倍に伸び、応募者の異職種転職へ期待感が高まっている。ところが、ポジションや求められるスキルなどで、応募者と採用側に若干の認識ギャップがあるなど転職の実態が明らかになった。

  • 企業に求められるITエンジニアとは…?(写真はイメージです)
    企業に求められるITエンジニアとは…?(写真はイメージです)
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ITエンジニアの求人倍率が11.2倍に! 超売り手市場の理由は?

   この調査は、コロナ禍を一因として起きた産業構造の変化から、デジタル化やDX化の推進役としてのITエンジニアが注目を集めていることを背景にビジネスパーソンと企業に意識調査を行うもの。

   2023年1月20日から1月27日応募者への「個人向け調査」と採用側の「企業向け調査」に分けて実施した。

   個人向けでは全国に住む転職を検討しているまたは興味がある、ITエンジニア職未経験者・微経験者および現職以前にITエンジニア職経験がある20から30代男女会社員(正社員・契約社員)の200人を対象とした。企業向けでは、全国に住む、ITエンジニア職人材の獲得経験がある20代から60代男女の中途採用・人事担当者を対象に200人にインターネットで調査した。

   なお、「微経験者」とは、実務経験はないが、軽微なエンジニアスキルがある人、と同社は定義している。

(図表1) 業種別doda転職求人倍率の推移
(図表1) 業種別doda転職求人倍率の推移

   まず、転職サイト「doda」の職種別転職求人倍率の推移をみてみると、2023年1月時点で全職種の転職求人倍率が約2.3倍であるのに対して、ITエンジニア職である「エンジニア(IT・通信)」は約11.2倍と大きく超えていて、需給バランスに偏りが起こっていることが確認できる。(図表1)

(図表3)ITエンジニア職で働くことへの興味関心度(図表4)ITエンジニア職の採用重要度
(図表3)ITエンジニア職で働くことへの興味関心度(図表4)ITエンジニア職の採用重要度

   次に、応募者側の「ITエンジニア職で働くことへの興味関心度」(図3)をみると、「とても興味・関心がある」と「やや興味・関心がある」の二つの項目の合計が「94.5%」に達するという高い数値だ。

   一方で、企業側の意向をみると、「ITエンジニア職の採用重要度」では、重要度が「とても高い」「やや高い」の合計が「96.5%」となり、図表1で示したITエンジニア職の転職求人倍率の上昇を裏付けるものとなった。

   個人側の転職の理由の声では、

「(IT企業の)働き方が魅力的に感じた」
「コロナの流行によって在籍している業界の景気が冷え込んでしまったから」
「グローバルに職場を探せるので、国内から出る機会をつかみたいと思った」

   など、働き方改善への期待や、業種をまたいだ異職種転職を含めたキャリア拡大への期待があるようだ。

企業がITスキル以上に「期待」していることとは?

(図表7)「ITエンジニア職」人材の確保方針
(図表7)「ITエンジニア職」人材の確保方針

   対して、採用する企業側の「『ITエンジニア職』人材の確保方針」をみると、「中途採用で、実務経験者を確保している」が「84.0%」と一番高く、次いで「中途採用で、実務経験はないが軽微なエンジニアスキルがある人材を確保している」が「52.0%」と二番目に高い。

   「中途採用で、実務未経験者を確保している」(16.0%)は人材サービスを利用した人材確保と社内人材の育成よりも低くなっている。これについて、企業側の意見として

「他社での経験値に期待」
「IT以外に秀でた能力や実績」
「自己改善に意欲的な姿」

   などを評価する意見が挙がっている。

   必ずしもエンジニア経験者やプログラミング熟達者を得たいわけではなく、「未経験者」や「微経験者」の前職で身に着けた知見や経験をITとからめた課題解決につなげたいという期待感があるようだ。

(図表10)「ITエンジニア職」未経験者・微経験者が応募時に企業が最も求めると思うスキル
(図表10)「ITエンジニア職」未経験者・微経験者が応募時に企業が最も求めると思うスキル

   ところが、未経験者・微経験者側と採用企業側の間には、必要スキルへの若干の認識ギャップがあるという結果が出ている。

   図10は「『ITエンジニア職』未経験者・微経験者が応募時に企業が最も求めると思うスキル」を集計したものだ。

   これを見ると、上位に「現在トレンドなプログラミング言語、フレームワークの取得」(未経験者=24.7%/微経験者=16.9%)、「ビッグデータ処理や機械学習などBIツール関連の技術」(未経験者=19.2%/微経験者16.9%)、「ブロックチェーンやスマートコントラクトなどWeb3関連の技術」(未経験者=13.7%/微経験者=16.9%)などと最新の技術が並ぶ。

(図表11)「ITエンジニア職」として未経験者・微経験者採用時に最も期待するスキル
(図表11)「ITエンジニア職」として未経験者・微経験者採用時に最も期待するスキル

   他方、図11の企業側の「『ITエンジニア職』として未経験者・微経験者採用時に最も期待するスキルの1位には「コミュニケーションスキルの向上」(25.0%)、次いで「ビッグデータ処理や機械学習などBIツール関連の技術」(19.0%)、マネジメントスキルの向上」(13.5%)が並ぶ。

   このほかにも、未経験者・微経験者の従事したい業務には「Webエンジニア」、「ITコンサルタント(アプリ)」、「品質管理(IT・通信)」が上位に挙がるが、企業で求められているポジションは順に「社内SE」、「品質管理(IT・通信)」、「テクニカルサポート/ヘルプデスク」だった。こうしたことなどから、職種に対しても若干の認識のズレが発生している。

   このため、良いキャリアの拡大や職場に定着することを考えると、企業研究や面接などで応募者と採用側の間で、ポジションやスキルの面ですり合わせることが必要になりそうだ。

   この調査結果を受けてdodaキャリアアドバイザーは

「個人が考える応募時に求められているスキルと企業が求めているスキルにはギャップがみられ、企業は、具体的なITスキルではなく、『コミュニケーション力』を期待しているという結果になりました。
実際に職務経歴書の作成や面接時のアピールポイントをまとめる際は、前職での職務経験から、論理的思考力や自走してアウトプットにつなげられる力などを伝えるなかで、コミュニケーション力についても触れるよう意識するとよいでしょう。もちろん、プログラミングスクール等への就学歴、取得した資格、また自作したアプリなどの成果物があれば積極的に盛り込むことは大変有効です」

   とコメントしている。

   さらに、doda編集長の大浦征也氏は、

「企業へITエンジニア職人材の確保方針と対象を尋ねた調査結果からは、『実務経験者の採用』が8割超と多いながらも、次いで『微経験者の採用(52.0%)』が続き、『未経験者の採用』も16.0%に上る結果が出ています(【図7】参照)。
この結果を表すように、転職サービス『doda』で扱う『職種未経験歓迎』表記がある求人票は、2021年1月対比で約3.0倍に伸びています(【図2】参照)。これらのことからも、ITエンジニア職転職において、経験がない又は浅い方を対象にした採用は広がりをみせていることがうかがえます」

   と総括する。

   なお、「ITエンジニア職」に関する調査は「個人向け調査」と「企業向け調査」に分けて実施。個人向け調査では、全国に住む、転職を検討しているまたは興味があり、ITエンジニア職未経験者・微経験者および現職以前にITエンジニア職経験がある20から30代男女会社員(正社員・契約社員)の200人を対象としたインターネット調査を2023年1月20日から1月27日まで行った。

   また、企業向け調査では、全国に住む、ITエンジニア職人材の獲得経験がある20代から60代男女の中途採用・人事担当者を対象に200名にインターネット調査を2023年1月20日から1月27日までに行った。

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