仕事の目的を深堀りして、共有する
次に、上司は新入社員が担当する個々の仕事について、その目的をできるだけ詳しく丁寧に説明しましょう。単なる作業に見えるルーティン事務であっても、チームや職場全体のなかで果たす大切な役割・意味があり、その出来栄えや積み重ねが及ぼす影響があるはずです。
また、主な商品やサービスについても、お客様に提供する便益や効果がどのようなものか、どんな満足を想定したものかという目的について、深く説明していきましょう。
前項の「石切り職人」の逸話のように、同じ仕事であっても目的は決して単一ではありません。広く社会に貢献できるような、高い志に基づく説明もできるでしょう。また、本人のキャリアビジョンに結びつけて動機づけを図ることもできるはずです。
新入社員の問題意識が高いようなら、上司が一方的に目的を語るだけに留めず、対話型で目的を深堀りしながら共有する方法もよいでしょう。「あなたはこの仕事の目的をどう思う?」と投げかけてみるのです。
いずれも、ポイントはその仕事を担う新入社員にとって納得感があり、より魅力的に感じられる目的を定義づけ、仕事への前向きな動機づけを図ることです。
では、まだ経験の浅い新入社員に働きがいを教えるために、さらにどのような取り組みが考えられるか。<「職場のエンゲージメントを高めて新入社員の離職を防止しよう」との人事部長の訓示...どう行う?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE24(後編)】(前川孝雄)>で、解説していきます。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版)、『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks)、『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所)等30冊以上。最新刊は『部下全員が活躍する上司力 5つのステップ』(FeelWorks、2023年3月)。