前回、上手なセールス・プレゼンテーションは説明が目的ではなく、相手の関心を引き付けること。
そのためのポイントとして、プレゼンテーション資料のビジュアル的な工夫とストーリー展開が重要であるとし、ビジュアル的な工夫は見ただけではストーリーが読めない紙芝居的なモノがよいとしました。
(以上については、会社ウォッチ「セールスパーソンが誤りがちな『説明』の仕方とは? 間違った『プレゼン資料』も作っていませんか?」をご覧ください。)
今回はプレゼンテーションのストーリー展開、すなわちシナリオ化の基本について、魅力的なシナリオを作る方法をお話しします。
シナリオのパターンは、注意→関心→欲求→購買行動
シナリオ化と聞くと、何やら難しそうな印象があるかもしれません。しかし、既存のシナリオパターンを拝借することで、誰にでも簡単に、魅力的なセールス・プレゼンテーションシナリオが作れるようになります。
一般的に説明型のシナリオは、「起→承→転→結」で運ぶのが論理的でかつ分かりやすくもあるのですが、目的が相手の関心を引き付けることにあるセールスに有効なのは、マーケティングで使われるシナリオパターンです。
その代表的なものが、AIDA(アイダ)というシナリオパターンです。
AIDAは1920年代のアメリカ心理学者のE.K.ストロング博士が購買に向かう顧客心理の段階を分析した理論が広告や営業の世界で応用され、その後長らく利用されるようになったものです。
この理論を元にして、テレビスポット広告シナリオに活用されるAIDMA(アイドマ)やAIDCA(アイドカ)、あるいは日本の大手広告代理店もAISAS(アイサス)という独自のシナリオパターンを発案するなど、派生型のシナリオも多く存在しています。
AIDAは、人の購買行動がA=「Attention(注意)」→I=「Interest(関心)」→D=「Desire(欲求)」→A=「Action(購買行動)」という流れに乗ることで、スムーズに促されるという理論です。ですから、購買行動を喚起するようなシナリオを作るためには、これに沿ったプレゼンテーションの流れを想定すればいいということになります。