内定取得後も、より志望度の高い企業を目指す学生が増加
さらに、早いスタートダッシュを反映して、進路確定も率も約2割近い16.8%(同プラス2.7%)と高い水準に達している【図表4】。その一方で、昨年同様に内定辞退企業数が多いことも今年の特徴だ。早くも2社以上を辞退した人が7.0%いるのだ。
こうした結果から、特定の業種、特定の学生に内定が集中することなく、幅広く分け合う傾向が見られることが、昨年に続き今年の特徴のようだ。
就職活動の実施率をみると、88.2%で昨年同時点(89.3%)よりやや低い。具体的な活動内容を聞くと(複数回答可)、「就職に関する情報を収集した」(88.0%)、「インターンシップに参加した」(72.9%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(69.8%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(69.2%)などが上位に並んだ【図表5】。
ほぼ全員が情報集めを開始しており、具体的に適性検査や選考試験を受ける段階まで進んだ学生が多いことがうかがえる。「最終面接を受けた」という学生も28.7%(同プラス10.5ポイント)おり、受けた企業数の平均は1.59社だった。
就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。
「各プロセスの活動詳細のうち『最終面接を受けた』を見ると、2月中の活動実施量は平均1.59社(マイナス0.3社)でしたが、活動実施率は28.7%(プラス10.5ポイント)と、前年と比べてより多くの学生が最終面接を経験したことで、内定率の高さにつながったと考えられます。
一方で、就職活動実施率は全体が88.2%、そのうち内定取得者が77.9%となっており、内定を取得した学生の多くが就職活動を継続していることが分かります。今後、より志望度の高い企業から内定を得ることで、選考辞退・内定辞退が増加すると考えられます。
学生の皆さんは、高い内定率や周囲の様子から焦ってしまう気持ちもあるかもしれませんが、3月から企業の採用広報が本格的に開始されています。
これから選考を受けられる方も、納得できる進路を自分で選択するために、必要な情報収集や企業との対話を重ねながら、自身の考えや仕事の理解を深めていきましょう」
調査は、2023年3月1日~6日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生3219人(大学生2476人・大学院生743人)にアンケートした。(福田和郎)