欧米でも「王様」56歳「キング・カズ」...なぜ世界中のサッカーファンに愛され、辛口評論家たちをメロメロにするのか?(井津川倫子)

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「1分でも長くピッチに立ちたい...」永遠の「サッカー小僧」に批評家もメロメロ

   それにしてもなぜ、人々がこれほどまでに「キング・カズ」に魅了されるのでしょうか。理由の一つは、目の肥えた英国人評論家でさえ「どんな選手も色あせて見える」と称する、三浦選手のフィジカル(身体能力)です。

   専門家によると、三浦選手は決して身体能力に恵まれてはいないそうです。それでも、たぐいまれな努力を重ねて56歳の今でも現役でピッチに立てる身体を維持していることが、サッカーファンや評論家の心を取られえて離さない様子。「playing almost 80 minutes」(まだ、80分間も出場している!)と、感嘆の声が広がっているほどです。

   多くのメディアが指摘しているように、通算ゴール数やワールドカップ出場数などの業績では、三浦選手を上回るスター選手はたくさんいます。

   それでも、三浦選手が「King Kazu」として世界で愛されているのは、名声や栄光よりも、サッカーを続けることをひたすら追い続ける「サッカー小僧」の心を忘れていないからでしょう。

   試合に出られなくてベンチを温めていても名門クラブにこだわる、という道を選択する選手もいるなかで、クラブを移籍しても「試合に出る」ことにこだわり続ける姿は、どんな名選手よりも心に訴えるものがあるようです。

He only wants to play
(彼はただ、サッカーをしたいだけなんだ:英紙デイリーエクスプレス)

   デイリーエクスプレス紙は、「Some believe Kazu will continue playing until he was 60」(カズは60歳までプレーするかもしれない)とも伝えていますが、三浦選手自身も「1分でも長くプレーしたい」と語っています。

   今回のポルトガル移籍は、クラブの知名度アップを狙ったビジネス的な側面も指摘されています。移籍しただけでもここまで話題になるのですから、三浦選手がピッチに立ったらどれほど大きなニュースになるのか...。絶大な広告効果を考えても、ぜひ、1日も早く試合に出場してほしいものです。

   サッカーが大好きで、サッカーをプレーできる喜びを全身で伝える「キング・カズ」。少年の心を忘れない56歳の活躍を、世界中のサッカーファンが暖かく見守っています。

   それでは、「今週のニュースな英語」「break a record」(記録を破る)を使った表現を取り上げます。

Mao Asada broke a world record
(浅田真央選手が世界記録を破った)

Hanyu broke a personal- best record
(羽生選手が自己ベスト記録を更新した)

Otani broke the record for home runs in a season
(大谷選手が、シーズン最多ホームラン記録を破った)

   三浦選手のように、年齢を重ねるほど「いい顔」になる大人は意外と少ないもの。若手に交じって少年のような笑顔でサッカーを楽しむ姿に、世界中の人が勇気をもらっていることでしょう。「キング・カズ」はもう、世界の「King Kazu」なのです。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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