欧米でも「王様」56歳「キング・カズ」...なぜ世界中のサッカーファンに愛され、辛口評論家たちをメロメロにするのか?(井津川倫子)

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   「キング・カズ」こと、三浦知良選手がポルトガルのクラブに移籍。「世界最年長の現役サッカー選手」が欧州に帰ってきたと、時の人になっています。

   2023年2月に56歳になった三浦選手。わずか15歳で単身ブラジルに渡って以来、日本、イタリア、クロアチア、オーストラリアでプレーをして、ポルトガルは6か国目となります。

   いくつになっても現役にこだわり続ける「キング・カズ」を、欧米メディアも「legend」(レジェンド)「diehard」(ダイハード)と絶賛。サッカーの本場英国の評論家でさえ、称賛の声を惜しみません。

   メッシやC.ロナウドのような輝かしいスターとは一味ちがう「愛されキャラ」として世界に君臨する「キング・カズ」。その理由を探ってみました。

  • 「キング・カズ」が世界で愛される理由とは(写真はイメージ)
    「キング・カズ」が世界で愛される理由とは(写真はイメージ)
  • 「キング・カズ」が世界で愛される理由とは(写真はイメージ)

「メッシが生まれる前からプロで活躍しているなんて!」

   サッカー元日本代表のFW三浦知良選手が移籍したのは、ポルトガル2部のオリベイレンセ(Oliveirense)です。三浦選手が所属する横浜FCの親会社が2022年に買収したクラブで、今回の移籍は期限付きのようです。

   1986年にブラジルのサントス FCでデビューして以来、プロとして37年間もプレーし続けている三浦選手。2022年には55歳で2得点(JFL鈴鹿ポイントゲッターズ)を挙げて最年長得点記録を更新するなど、これまでも数々の記録を樹立してきました。

   そんな「キング・カズ」の新しい挑戦に、ワクワクしているのは日本人だけではありません。いつもは辛口の英国メディアから、あまりサッカーに関心がなさそうな米メディアまで、われらが「キング・カズ」の移籍を大きく取り上げています。

Kazuyoshi 'King Kazu' Miura breaks more records as the 55-year-old signs for Portuguese club
(「キング・カズ」こと三浦知良選手が、55歳でポルトガルのクラブと契約して、また記録を破った:米CNN)

King Kazu, the world's oldest footballer signs for Portuguese team at 55 years of age
(世界最年長のサッカー選手「キング・カズ」が、55歳でポルトガルのチームと契約した:スペインメディア)

   何よりも驚くのは、欧米メディアでも「King Kazu」(キング・カズ)の通称が浸透していることです。

   じつは、世界に知られたトッププレーヤーでも、通常は名前で報じられます。テニスの大坂なおみ選手は「Osaka」ですし、野球の大谷翔平選手は「Otani」です。ましてや、多くの名選手が活躍するサッカー界で、三浦選手が「King」(王様)だと認識されていること自体、ただごとではありません。

   さらに驚くのは、いつもは辛口のサッカー評論家たちが、「King Kazu」に関しては批判めいたコメントを一切せずに、賞賛ムード一色だということ。いかに「King Kazu」が卓越した存在であるかを、いろんな言葉で伝えようとしています。

「legend」(レジェンド)
「evergreen footballers」(永遠のサッカー選手)
「diehard」(ダイハード)

   映画のタイトルにもなった「diehard」(ダイハード)は、「決して死なない」「不死身の」といった意味です。「evergreen」(色褪せない)同様、いくつになっても現役を続けていることが、人間離れした姿に映るのでしょう。

   目を引くのは、37年という現役期間の長さを、読者に伝えようとする工夫です。「偉大なリオネル・メッシが生まれる1年前からプロとして活躍していた」「チームメイトの年齢より長くプレーしている」といった表現もさることながら、「世界で唯一、1980年代から現役を続けている選手」という事実を知ると、サッカーファンでなくても思わず感動しそうです。

   移籍先のポルトガルで56歳の誕生日を迎えた三浦選手。今のところ、まだ出場機会には恵まれていないようですが、今回の移籍が各国で報じられたことで、さらにカズファンを増やしたことでしょう。

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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