働くうえで、一番大切なものは何だろうか? 「やっぱりお金!」と答える人も多いだろう。「お金」といえば、他人の年収は何かと気になるもの。
というわけで、綜合人材支援のパーソルキャリア(東京都千代田区)が運営する転職サービス「doda」(デューダ)が2023年3月7日、56万人のデータを使った「正社員の年収中央値調査」を発表した。
はて、平均値ではなく中央値? と思った人も多いだろう。調査の結果、正社員の年収中央値は350万円、平均値は403万円とわかった。両者の違いから浮かびあがる「年収の深~い謎」とは?
年収は「平均値」より「中央値」のほうが生活実感に近い
調査は、転職サイト「doda」に登録した正社員として働く20歳~65歳までの約56万人のデータを元に、年収中央値を中心にまとめたもの。
言うまでもなく、中央値とはデータの「位置関係」を軸にした値で、データを大きさ順に並べたときに、ちょうど「中央にある値」を指す。
平均値の場合は、ごく一部の極端に年収が高い人たちのために平均年収が跳ね上がるが、中央値ではその影響を受けない。年収を比較する際、大半のビジネスパーソンにとって、中央値のほうが平均値より「生活実感」に近いといえる。
調査ではまず、約56万人のデータの年収中央値を調べると、350万円だった。年収分布を見ても、300万円以上~400万円未満の層が一番多いことがわかる。一方で、平均年収は403万円だった。平均値が中央値を53万円も上回ったのは、1000万円以上の年収が高い層(1.7%)が平均値を引き上げたからだ【図表1】。