1~3月期も、製造業は連続減産に追い込まれるか
しかし、景気の後退局面入りが近いと予測するエコノミストもいる。
第一生命経済研究所シニアエグゼクティブエコノミストの新家義貴氏は、リポート「景気動向指数(2023年1月)~3月分で「下方への局面変化」に下方修正の可能性も~」(3月8日付)のなかで、一致指数と先行指数の推移のグラフ【図表】を示しながら、こう指摘している。
「1月の大幅低下については、中華圏の春節時期のズレにより押し下げられている面もあることは確かである。もっとも、一致指数は直近5か月中4か月が低下(2022年12月は横ばい)していることを考えると、単なる単月の振れとして片づけて良いものではないだろう。輸出が停滞していることから生産活動も足元で弱含んでおり、一致指数にも影響が及んでいる」
「先行きについても下振れ含みだ。2023年1月の鉱工業生産指数は前月比マイナス4.6%と大幅な低下となった。春節要因による下押しがあるとはいえ、低下幅は非常に大きい。製造工業生産予測指数では2月に前月比プラス8.0%の大幅上昇が見込まれているが、予測指数の下振れバイアスを考慮した経済産業省の補正試算値では前月比プラス1.3%にとどまり、1月の落ち込みを取り戻すことはできない見通しとなっている」
こうしたことから、
「『春節要因を均(なら)しても低調』という結果になるとみられ、2023年1~3月期も2四半期連続の減産となる可能性が高い。世界的に製造業部門が調整局面に入っていることから、日本からの輸出も悪化傾向が続く可能性が高く、鉱工業生産も当面低迷が見込まれる」
と、指摘。
5月に発表される3月分指数では、「下方への局面変化」に下方修正される基準を満たす可能性が高い、としている。(福田和郎)