「事業の多角化」で成長鈍化の懸念を払拭
プレイドの株価は、上場翌年の2021年4月には5080円の高値をつけましたが、5月に3000円台に急落。さらに1年後の2022年5月には500円台まで下落し、8月には360円の安値まで落ち込みました。現在は700円前後で推移しています。
5月が鬼門になっているのは、契約更新額の多い3月末に解約が増え、第2四半期決算に影響が現れるため。プレイドのサブスクリプション売上高比率は87.5%を占めており、ここでの解約が増えると第3四半期以降の収益にも大きな影響を与えます。
株価低迷の原因は巨額の赤字ですが、成長性鈍化も懸念されています。2022年9月期は第3四半期の売上高およびARR(年間経常収益)が前四半期比で初めて減少しました。
このためプレイドは、2021年8月にエモーションテックを買収、12月に子会社RightTouchを設立しました。2022年10月にはアジトを買収し、M&Aによる事業の多角化を図っています。
エモーションテックは、感情データを収集し解析することで顧客体験価値の向上をサポートする「EmotionTech CX」のほか、マーケティングでの知見を応用して従業員体験価値・エンゲージメントの向上をサポートする「EmotionTech EX」を提供するなど、先進的な分野を開拓しています。
アジトは、2024年Cookie廃止後の課題となる「1st Party Customer Data活用」を実現すべく、広告データと天気データ、CRM、アクセス管理、購買等のデータを一元管理するサービスを提供しています。
デジタルマーケティングに投入される費用は、これからも大きく拡大していくと考えられ、その成否を握るデジタルマーケティングツールの活用が高度化していくことは確実です。
「ChatGPT」のような新しいサービスも登場する中で、プレイドがどのようなポジションを取れるのか分かりませんが、会社は高給を支払って優秀な人材を積極的に集め、新しい未来の創造に関わろうとしているようです。(こたつ経営研究所)