「人間関係がよくなかった」「残業が多かった」「思っていた仕事と違っていた」......。転職する理由はいろいろあるが、新たな転職先を選ぶ際の「決め手」はどのようなことがあるのだろう――。
人事のトータルソリューションを提供するベクトル(東京都千代田区)は、転職経験がある男女500人に「転職の決め手に関するアンケート調査」を実施。2023年2月27日に、その結果を発表した。
雇用の流動化が広がるなか、転職する人は増える傾向があるが、その「決め手」となる理由を探った。
転職先はライフワークバランスを重視
今回の調査では、転職を経験した500人に、「転職先の決め手はなんでしたか?」(複数回答)と聞いたところ、第1位は「希望する仕事内容」が202人で最も多かった。第2位は「休日休暇が希望にあっている」で192人、第3位は「勤務時間がよい」の187人で続いた。
第4位は「給与、年収が高い」の170人。また、第5位は「希望の通勤地」の144人と、ライフワークバランスを重視する回答が上位を占めた。【図1参照】
寄せられた回答には、
「在宅勤務ができる」
「時短勤務が可能だったため」
「オフィス環境がよい」
「ブラックな働き方でない企業、収入は二の次」
「楽そうだったから」
などの声があった。
「転職したいと思ったきっかけ」第1位は「職場の人間関係が悪い」
次に、「転職をしたいと思ったきっかけ」(複数回答)を聞いてみると、第1位は「職場の人間関係が悪い」(222人)だった。第2位は「給与に不満がある」(183人)、第3位は「休日が少ない」(126人)、第4位は「やりがいがない」(121人)、第5位は「上司のパワハラ」(112人)と続いた。【図2参照】
その他の回答には、
「持ち帰りの仕事量が多い。サービス残業が多すぎる」
「休日や帰宅後も仕事のことを考えなければいけないことにストレスを感じていた」
「拘束時間が長過ぎた」
「祝日休みがなくなり、出勤日数が増えることになったため」
「業務内容が勤務形態に見合わない」
「ライフワークバランスがとれない環境だったため」
「やりたくない仕事を突然任されるようになったため」
「社長の態度」
「体力的にしんどい仕事だったため」
「職務内容(入ってみたら想像と違っていた)」
といった声があった。
また、「前職を辞めた1番の理由」には、次のような声が寄せれている。
「会社存続の危機を感じた」
「上司に嫌われた」
「同僚からのモラハラ」
「上司からのセクハラ」
「ストレスで身体を壊した」
「仕事内容の割に給与が少ない」
「仕事が楽しくなく、職場の雰囲気も悪かった」
「何年働いても正社員になれなかった」
「人事異動が受け入れられなかった」
「ライフスタイルに合わない雇用条件に変更された」
「産休がとりにくい」
「経験やスキルが活かせない」
「尊敬できる人がいない」
77%の人が「転職について相談した」
また、「転職について誰かに相談しましたか?」と聞いたところ、「相談した」と答えた人は77%だった。「相談していない」人は23%。
さらに、「誰に相談しましたか?」(複数回答)という問いには、「配偶者」が130人、「友人」130人、「親」126人で、ほぼ同数だった。第4位は「転職エージェント」が70人。第5位に「恋人」(65人)。「ハローワーク担当者」(52人)が第6位で、相談相手に専門家を選ぶ人は意外と少ないことがわかった。【図3参照】
調査したベクトルは、「大多数の人が職場環境への不満をあげていますが、出産など自分自身のライフスタイルが変化した結果、前職が合わなくなった人も多かった印象です」とみている。
なお、調査は転職経験がある500人を対象に、2022年12月16日~22日にインターネットで実施した。回答者の属性は、男性が35%、女性65%。世代別でみると、20代が18%、30代40%、40代28%、50代11%、60代は3%だった。