薄毛、肥満の治療薬の今
「週刊ダイヤモンド」(2023年3月11日号)の特集は、「激変! 選ばれるクスリ&治療」。危ない薬、やめていい薬......薬に関する情報があふれている。でも、結局のところ一番知りたいのは「自分の病気や悩みに本当に効く薬」ではないだろうか。中高年の読者の関心が高い項目に絞って、紹介しよう。
まずは薄毛。男性型脱毛症(AGA)の主な治療薬にはフィナステリド(製品としては「プロペシア」)、デュタステリド(同「ザガーロ」)、ミノキシジル(同「リアップ」)の3種類ある。
このうち効果が高いとされるのは、「デュタステリド内服薬0.5ミリグラム/日」という研究結果がカナダ・トロント大学の研究者たちによって2022年発表されたらしい。
一方、国内で約30年ぶりに肥満症の治療薬が登場すると話題になっている。同誌によると、市販薬の「アライ」も製造販売について承認されたが、医師たちにとっての本命は、糖尿病治療薬から転用するGLP-1受容体作動薬「ウビーゴ」だという。
アライは、海外では医療用医薬や市販薬として、昔から広く使われてきた薬だ。日本では今回、医療用医薬品での承認を経ないまま市販薬になるということだ。
GLP-1受容体作動薬は、医療保険適用外の自由診療を行う美容クリニックなどが「ダイエット注射」などとうたい、処方されてきた。
もっとも、適正使用の注意が喚起されており、適応対象となるのは高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを伴う肥満症患者で、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、かつ次のどちらかに該当される場合だ。
1つはBMI27以上で、肥満に関連する健康障害を2つ以上持つ。もう1つはBMIが35以上。「ウビーゴ」は週1回の注射剤で、飲み薬も開発中だそうだ。
このほか、糖尿病、高血圧、がんなど18疾患に関する「選ばれるクスリ」ランキングも載っている。たとえば、糖尿病での1位はメトホルミン塩酸塩で、製品名は「メトグルコ」(住友ファーマ)、「グリコラン」(日本新薬)。処方患者数トップでも、処方金額は7位で、使いやすい薬であることの証明だという。
自分に関係のない疾患の薬に対しては、基本的に無関心という人が多いだろう。それでも新しい治療法や治療薬が登場しているということは押さえておきたい。