「混迷の世界経済」G20財務相会議、めぼしい成果なし...途上国の深刻な債務問題、救済ままならず カギを握るのは、融資膨らむ中国

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コロナ禍で景気低迷・財政悪化、ドル高で債務拡大が追い打ち

   従来、こうした債務問題は先進国を中心に作る「パリクラブ(主要債権国会議)」という枠組みで対応してきたが、近年は状況が大きく変わっている。そのカギを握るプレーヤーが中国だ。

   中国はいろいろな「顔」を使い分け、たとえば地球温暖化問題では「途上国代表」として、地球に負荷を与えて先に経済成長を遂げた米欧を中心とする先進国と対峙している。

   ところが途上国の債務問題では、中国はいまや二国間融資で世界最大の債権国として、債権カット(借金の棒引き)を求められる立場だ。

   この間、G20は2020年に「共通枠組み」と呼ばれる仕組みを導入した。IMFを中心に個別の国について、債務の一部免除を含む支援を協議する場で、チャドに対する債務再編が妥結し、ザンビアとエチオピアに対する協議が進んでいる。

   今回のG20でインドはこの枠組みの拡大を提案したとされるが、議長総括は、チャドなどへの対応を「歓迎」し、スリランカなど他国の債務の解決への「期待」を表明するにとどまり、具体策の進展はなかった。

   議論の進展の壁になっているのが中国だ。

   そもそも、インフラ整備などに巨額の融資をし、返済に窮すると港湾の使用権を手に入れるといったことをスリランカなどで行って、米国などから批判されている。

   その中国が持つ途上国向け債権について、カットの話し合いに応じる以前に、どのような条件の債権をどの程度持っているかという、話し合いの前提になる情報も十分に開示していない。

   G20でも基本姿勢に変化はなかったようで、議長総括も、債権者に「自発的にデータを提供するよう引き続き奨励する」と記すにとどまった。

   ウクライナ危機に直接かかわる議論では、当面、国際社会の対立の終息は望めないが、途上国債務問題は、協力可能なテーマだ。一致して取り組まなければ世界経済の混乱を招きかねないという意味でも、先進国と新興国・途上国をつなぐG20の役割が重要というのは、衆目が一致するところ。

   今回は2023年の議論のスタート。4月に毎年恒例のIMF・世界銀行の一連の国際会議があり、最終的には9月のG20首脳会議に向け、途上国の盟主を標榜するインドがどのようなリーダーシップを発揮して議論をまとめていくか、今後の推移に注目する必要がある。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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