IMFに金融支援を要請するスリランカ、パキスタン、バングラデッシュ 他の低所得国も過剰債務リスク抱える
ここまでは、ロシアのウクライナ侵攻後の1年間、繰り返し見てきた場面ともいえるが、財務相会議だけに、世界経済、深刻な途上国の債務問題への対応も重要な議題だった。
とりわけ、「グローバルサウス」(新興国・途上国)のリーダーを標榜するインドが23年のG20議長国で、秋のG20首脳会議に向けた一連の各大臣会合の第1弾という意味でも注目された。
「多くの国々で持続不可能な債務水準によって、財政的な存続も脅かされている」
インドのモディ首相は24日に開幕した財務相会議冒頭に寄せたビデオメッセージで、そう訴えた。
新興国や途上国の債務問題が深刻化したのは、世界的な経済環境の激変が絡み合ったためだ。
背景として、新型コロナウイルスの感染拡大による景気低迷で財政状況が悪化していたところに、2022年春から始まった米国の利上げやウクライナ侵攻が重なった。
米利上げによりドル高・新興国の通貨安が進み、途上国のドル建て債務の返済負担が増加。ウクライナ侵攻で資源や食料の価格が高騰し、外貨不足に拍車をかけている。
真っ先に危機が顕在化したのがスリランカだ。22年4月、事実上の対外債務のデフォルト(債務不履行)に陥り、国内物価は高騰、政情不安で政権交代したが、混乱が続いている。
パキスタンもインフラ整備で借り入れた債務が膨らむなか、資源高などで外貨不足となり返済が困難になりつつある。22年秋には国土の3分の1が水没するという大災害にも見舞われた。格付け大手フィッチは2月14日、「デフォルトまたは債務再編の可能性がますます高まっている」として、パキスタンの格付けを「CCCマイナス」に2段階引き下げた。
両国にバングラデッシュを加えた南アジア3か国は、国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請している。
こうした動きがあるなか、世界の主要な金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)は2月22日、22年10~12月期の新興国の債務残高が98兆2000億ドル(1京3200兆円)に達したと発表した。IMFはG20財務相会議に向けた報告を2月22日におこない、低所得国の約15%が過剰債務に陥り、45%が過剰債務に陥る高いリスクを抱えていると指摘。さらに、「新興市場国でも約25%の国々が高いリスクにさらされている」と警鐘を鳴らしている。