2022年度から高校教育で必修化した「金融教育」。10代から70代までの男女の間でも金融を勉強したいという興味・関心は高まってきている。
そんななか、LINEリサーチでは、全国の男女を対象に、金融について勉強をしたことがある人の割合や勉強手段などについて調査。2023年3月2日、その調査結果を発表した。
それによると、やはり「将来のお金の不安」から、金融について学びたい意欲は高いようだ。
世代別では、30代以上では節税対策や投資の基本への関心が高く、一方で10代20代が勉強する理由は「将来のためにリテラシーを高めたい」が目立つなど、実態が明らかになった。
勉強したい人は52%...だが、ハードルは「情報が多すぎて、何が正しいかわからない」!
まず、問1では家計管理、生活設計、資産運用、保険やローンの仕組みなどの金融について勉強をしたことがあるかを聞いた。
それによると、「いま、している」は全体の「13%」と少なかった。「以前していたが、いまはしていない」の「20%」と合わせても、「勉強経験あり」は「33%」だから、「勉強経験のなし」の「67%」と大きく差がある。
ちなみに、男女別の傾向を見ると、「いま、している」「以前していたが、いまはしていない」が男性では「41%」。女性は合わせて「26%」となり、女性のほうがより低い傾向となった。
続く問2では「金融について勉強したいと思いますか?」と質問。全体では、「とてもそう思う」が「19%」と、「ややそう思う」の「33%」と合わせると、「勉強をしたいと思う」人は半数を超えることが分かった。男女の分布でも大きな差はなく、男女ともに金融教育に興味があるようだ。
また、年代別で見ると、特に20代、30代といった若い年齢層の割合が高いのが特徴だ。どちらの世代も25%程度となり、年齢層が高くなるごとに「どちらともいえない」の割合が高くなる傾向がみられる。
次の問3では「金融の勉強を始める・続ける際のハードル/困りごと」について調べた。全体では「情報が多すぎて何が正しいか/何を信じていいかわからない」がトップとなり(男性=31.1%/女性=39.9%)、次いで「何から始めていいかわからない」(男性=24.5%/女性=39.9%)という点が始める人の大きなハードルとなっている。
男女ともにトップの理由は「情報が多すぎて何が正しいか/何を信じていいかわからない」で、「何から始めていいかわからない」は男女ともにトップ2だが、男性に比べて女性は10ポイント高いことが見てわかる。とくに、女性では、3位に「勉強の仕方が分からない」(30.7%)があり、傾向としては女性のほうが男性よりも不安感を抱えやすいのかもしれない。
勉強したいことトップ3は「投資に関する基礎知識」、「税金の種類/節税対策」、「資産形成の手段/方法」
さて、「お金」の勉強をしたい理由は何か。また、それは世代別で違いはあるのだろうか――。そんな疑問に対して、問2で「勉強をしたいと思っている」人を抽出して理由を聞くと、全体では「将来のお金に不安がある」、「お金に関する無駄をなくしたい」、「豊かな生活を送りたい」が上位を占める結果になったという。
詳しく年代別で見ると、30代から50代では「将来のお金に不安がある」が約半数を占める高い結果になった。
一方で、10代、20代では「金融や経済について知るべきだと感じている」「お金に関するリスク管理をしたい/トラブルにあいたくない」などが上位を占める結果に。「お金」の知識の少なさなどに、Z世代は不安を抱えているのだろうか。
引き続き、「勉強したいと思う」人には具体的に、どのようなことを勉強したいのかも聞いた。それをみると、全体では「投資に関する基礎知識」、「税金の種類/節税対策」、「資産形成の手段/方法」がトップ3だったという。
年代別トップをみると、10代では「経済の仕組み」(43.0%)が高く、20代は「税金の種類/節税対策」(48.3%)、40代と50代では「投資に関する基本知識」(それぞれ48.5%、45.3%)、60代では「税金の種類/節税対策」(40.7%)。
特徴的なのは、30代で「投資に関する基礎知識」(52.6%)、「資産形成の手段・方法」(52.0%)、「税金の種類/節税対策」(51.1%)と、いずれも同じくらい関心が高いことが分かった。
今回の調査を受けて同社では、
「金融について勉強をしたいと思う人は半数以上と多く、勉強への意向が強いことがわかります。
しかしながら、まだまだ様々なハードルや不安ごとがあり、実際に行動に移せずにいる人が多い様子です。
学校教育が進んだり、ハードルとなっている不安を解消できるようなサービスやコンテンツが浸透していけば、今後、金融についての勉強を多くの人が取り入れるかもしれません。」
とコメントしている。
なお、調査は2022月12月21日から12月23日までLINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査で実施。対象はLINEを利用する日本全国の男女15歳から69歳までで、有効回収数は546,475サンプル。