準公務員と位置付けられている「消防団」 消防庁、団員の報酬引き上げを自治体に要請
「消防団」は自治体により認定されたボランティアのような存在だ。消防署が常設の消防機関であり、消防吏員(消防官・消防士)は消防学校を卒業した地方公務員であるのに対して、消防団員は普段は別の仕事をしている住民が消防活動を行う。
ボランティアのような存在とは言いながら、消防団員は「非常勤特別職地方公務員」という準公務員と位置付けられている。このため、その活動については、出動手当、年額報酬などの報酬が支払われている。
そこで、団員数減少対策と切り札として、2021年4月に消防庁は団員の報酬引き上げについて、条例改正等に取り組むよう市町村に要請した。これにより、多くの自治体では消防団員の報酬が引き上げられたが、それでも消防団員の減少に歯止めはかからない。
消防団員が実際には年に一度も消火活動を行うこともなく、それでも年額報酬や訓練に出動手当が支払われることに批判的な見方もあるだろう。
だが、消防団は火災のための出動だけではなく、風水害等の災害活動への出動が増加している。たとえば、この10年間で、火災のための出動は2割以上減少しているが、災害のための出動は2.5倍以上に増加している。
特に、消防署が近隣にない地域では、消防団は消火活動だけではなく、災害活動でも重要な役割を担っているのだ。