衰退する消防団...初の2万人以上減少、70万人台に 報酬引き上げも期待通りとはいかず 災害活動での出動は増えているのに(鷲尾香一)

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準公務員と位置付けられている「消防団」 消防庁、団員の報酬引き上げを自治体に要請

   「消防団」は自治体により認定されたボランティアのような存在だ。消防署が常設の消防機関であり、消防吏員(消防官・消防士)は消防学校を卒業した地方公務員であるのに対して、消防団員は普段は別の仕事をしている住民が消防活動を行う。

   ボランティアのような存在とは言いながら、消防団員は「非常勤特別職地方公務員」という準公務員と位置付けられている。このため、その活動については、出動手当、年額報酬などの報酬が支払われている。

   そこで、団員数減少対策と切り札として、2021年4月に消防庁は団員の報酬引き上げについて、条例改正等に取り組むよう市町村に要請した。これにより、多くの自治体では消防団員の報酬が引き上げられたが、それでも消防団員の減少に歯止めはかからない。

   消防団員が実際には年に一度も消火活動を行うこともなく、それでも年額報酬や訓練に出動手当が支払われることに批判的な見方もあるだろう。

   だが、消防団は火災のための出動だけではなく、風水害等の災害活動への出動が増加している。たとえば、この10年間で、火災のための出動は2割以上減少しているが、災害のための出動は2.5倍以上に増加している。

   特に、消防署が近隣にない地域では、消防団は消火活動だけではなく、災害活動でも重要な役割を担っているのだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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