大量生産・大量消費から脱却...「脱ファストファッション」でフォーエバー21再上陸 「環境対応」強化がファッション業界で加速

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   ファッション業界で環境負荷を低減しようという取り組みが広がっている。

   ファッションブランド「FOREVER21(フォーエバー21)」が2023年2月、日本に再上陸したが、コンセプトは「脱ファストファッション」で、環境に配慮した商品展開をするという。「ZARA(ザラ)」も持続可能な素材を使用した製品づくりを推し進め、「ユニクロ」では傷んだ服を補修する新サービスが始まっている。

   こうしたサステナビリティ(持続可能性)を目指す動きが活発化している。

  • ファッション業界の「環境対応」が進む(写真はイメージ)
    ファッション業界の「環境対応」が進む(写真はイメージ)
  • ファッション業界の「環境対応」が進む(写真はイメージ)

生産工程で必要な水やエネルギーの削減も実施 衣料品分野全体で「循環型経済」へ

   ファストファッションは、流行を取り入れながら低価格の衣料品を大量生産するもので、消費者は手軽に流行を楽しめるものの、服の大量廃棄につながると問題視されてきた。

   フォーエバー21はかつてファストファッションの代表格で、日本に初出店した2009年当時は、デニムがわずか1500円台など、他のブランドと比べてもとりわけ低価格であることが特色で、一時は国内に20店舗以上を展開した。

   しかし、2019年に米国の本社が破綻し、日本からも撤退した。それから3年半、23年2月に再上陸となった。今回、伊藤忠商事が、フォーエバー21ブランドを引き継いだ米社から独占販売契約を結び、カジュアル衣料専門店チェーンを展開するアダストリアが商品企画や販売を担う。当面、販売はオンラインだけで、東京・渋谷に商品を見るだけの店舗を期間限定でオープンし、4月には大阪に本格的な第1号店を開店する。

   再スタートのデニムの価格は4000円台。6000円台のワンピースや5000円台のジャケットなど商品の価格帯は、撤退前とは様変わり。「今の時代の価値観や多様性を捉えた」といい、ファストファッションとは明らかに一線を画す。たとえば、衣料品の回収やデニムを加工する際の水の使用量を大幅に削減するなど、環境に配慮した取り組みを進めている。

   ファッションブランド「ザラ」も、すでにファストファッションからの離脱を宣言している。衣料品の素材にオーガニックコットンや再生ポリエステルなど持続可能な素材を使用したり、生産工程で水やエネルギーの使用量を削減したりするなど、多彩な取り組みを展開中だ。

   ユニクロなどを運営するファーストリテイリングが取り組んで、話題になっているのは「リ・ユニクロスタジオ」だ。

   服にあいてしまった穴などを補修したり、古い服をリメークして新しい服に仕立て直したりする専用コーナーだ。服の寿命を延ばして、衣料品分野全体で循環型経済を実現しようという狙いとなっている。

   ユニクロ世田谷千歳台店(東京・世田谷)に23年3月31日までの期間限定で専用コーナーを昨秋開設。今後は国内、さらに世界各地にも広げる計画だという。

   ファーストリテイリングはまた、2030年度までに原材料の50%をリサイクル素材など温室効果ガス排出量の少ない素材に切り替えることを目標に掲げている。

環境負荷が大きい商品では、消費者を引きつけられない時代に

   ファッション業界で環境対応を強化する動きが進んでいるのは、大量廃棄につながるなど環境負荷が大きい商品を消費者が受け入れなくなっているからだ。

   「食料品の大量廃棄はかなり以前から関心が高まっているが、だんだん衣料品の問題に目が向けられるようになってきている」と流通関係者は話す。

   特に衣料品は流行に左右されるため、他の商品と比べても廃棄が多い。若者世代を中心に国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」への関心が広がる中、「1シーズン着ただけで捨てても惜しくない」というファストファッションをはじめ、環境に配慮していないとみなされる衣料品は敬遠される可能性が高い。

   安く売るだけでは消費者を引きつけられないという、大きな時代の波がファッション業界にも押し寄せている。(ジャーナリスト 済田経夫)

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