データの可視化で、炎上や誤解を避ける
この後、実際にデータを編集する実践編となる。まず、データの「軸」を考える。あらゆるデータは純粋な数字の羅列ではなく、分類したり時系列に並べたりすることができる。これらの分類や時系列を、荻原さんは「軸」と呼んでいる。
データの可視化とは、この軸を「縦の位置」「横の位置」「サイズ(棒の長さ、円の大きさ)「色」「奥行き(3Dで表現する場合)」「動き(アニメーションで表現する場合)」といった視覚表現に変換する行為だという。
レストランの売り上げデータを例に説明している。バブルチャートを使うと、顧客年齢と購入単価、業態、売上高までが一覧できるグラフをつくれることに驚いた。地図やネットワーク構造のデータも分解すれば、軸に置き換えることが可能だ。
データのデザイン法、可視化の改良法、炎上や誤解を避ける方法などの項目も参考になるだろう。
荻原さんは、「現代は歴史上最もデータ可視化が作りやすい時代であり、作り続けることで思わぬ『味方』が見つかることもある」と書いている。
報道ばかりではなく、マーケティングや営業など、幅広くビジネスの領域でも使えるテクニックが披露されている。プログラムや数式になじみのない人でも理解しやすいように書かれているので、文系の人にもお勧めだ。(渡辺淳悦)
「データ思考入門」
荻原和樹著
講談社現代新書
990円(税込)