2025年、32万人が不足する介護人材...求職者1人に事業所4カ所殺到の「争奪戦」

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【中途採用】未経験者に知ってもらうには?

   中途採用についても、正規雇用と非正規雇用に分けて、解説している。

   未経験者の場合は、福祉業界が自分たちを採用対象として見ていることを知らないことが多いという。そのため、「実際に未経験からリーダーになった職員の声」といったように求人原稿で強調することを勧めている。

   非正規採用かつ未経験者の採用メッセージで必要な要素として、「シフトの時間、自由度、時給、1日の仕事の流れ、内容、やりがい、事業所へのアクセス、未経験・無資格でも始められる教育研修制度、フォロー体制」などを挙げている。

   福祉業界でこそ検討してほしい採用手法の一つが、リファラル(知人紹介)採用だ。採用コストが低い、定着率が高い、従業員の帰属意識を高められるなどのメリットを挙げている。

   職場に浸透するまで時間がかかるため、中長期的な施策として考えること、従業員へリファラル採用を推奨するためのツール(カードなど)を用意すること、従業員へのインセンティブ(数千円~数万円)を用意することが必要だという。

   このほか、シニア採用、ボランティア採用、外国人採用、利用者の家族や親族の採用のノウハウについても触れている。

   さまざまな成功事例も興味深い。

   「ペットと一緒に働ける職場としてPR」「カフェを運営することで、主婦層へPR」「卓球台や筋トレ器具を設置し、体育系学生を確保」「『福祉の仕事』を切り出して、清掃職やリネン職、配膳職として仕事をPR」など、33の事例を紹介している。こうした取り組みを通じて、福祉の現場は支えられているのだ。

   涙ぐましいと思う一方で、アイデア次第で職場の魅力を増すことは可能だと思った。新型コロナ感染が落ち着いたら、経済環境が良くなり、飲食、宿泊など他の業界との採用競争が激しくなることが予想される。

   それだけに、こうした採用ノウハウは、介護福祉業界以外の人事・採用担当者にとっても、参考になりそうだ。(渡辺淳悦)

「介護福祉業界の採用ノウハウ」
繁内優志著
日本橋出版
1980円(税込)

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