「仁義」と「気合」がモーレツ社員の意気込みと覚悟!
【仁義を切る】(意味:事前の根回し)
広島ヤクザ抗争を描いた深作欣二監督の映画「仁義なき戦い」シリーズ(1973~74年)から出た言葉。昭和の企業では、各部課の縄張り意識が今より強く、互いにライバル同士の部課長を中心に派閥があった。
だから、組織をまたぐプロジェクトを進める時は、事前に関係する部署のトップに相談しておかないと、「俺はそんな話、聞いていない」「うちの課では一切、協力しない」と、ヘソを曲げられ、余計な横やりを入れられることがあった。こうした事前の根回しを「スジを通す」とも言った。
【鉛筆なめなめ】(意味:ごまかして数字の帳尻を合わせる)
パソコンのない時代、収入支出などの数字は、帳簿に鉛筆で記入していた。不正経理は、上司から命じられても担当者にとって気の重い仕事だ。
だから、実際に鉛筆をなめるわけではなく、上司も「〇〇君、鉛筆なめなめで頼むよ」と、部下に気軽な感じでごまかすよう勧める際に使われた。許されない行為であるが、どことなくユーモアを漂わせている。
【よしなに】(意味:いい感じに・ちょうどよく)
「よしな」は(いいいように・よろしく)といった意味の古語で、古くは女性やお年寄りが手紙で丁寧に頼みごとをする時に使っていた。それがビジネスの世界では、「よしなに頼みますわ」といった感じで、お互いに細かいことを言わずに全面的に任せる際に使われる。
当然、細かい契約書など結んでおらず、頼んだほうも、頼まれたほうも日頃から強い信頼関係がないと生まれない言葉だ。こういうビジネスコミュニケーションを「阿吽(あうん)の呼吸」と言った。
【ロハ】(意味:ただ・無料)
漢字の「只」(ただ)のつくりを分解してできた言葉。
【ガラガラポン】(意味:仕切り直す・白紙の戻す)
企画やプロジェクトが行き詰ったり、トラブルに巻き込まれたりして、グチャグチャになった時に、「もうガラガラポンにしませんか?」などと使う。
語源には説が2つある。1つは昔ながらの福引マシン、八角形の箱を回転させてポンと出て来た玉の色で当選を決めるガラガラ抽選機。もう1つは麻雀で、半荘ごとにガラガラとパイをかき混ぜてやり直すことから生まれたというもの。
【エイヤ!】(意味:気合で・勢いで)
「エイッ、ヤー!」という武道の気合から生まれた言葉。昭和の高度成長期、気合と根性とモーレツ精神で次々と襲ってくるトラブルを乗り越えたビジネスマンが最も多く使った言葉だ。
「さあ、今晩も徹夜だ。エイヤで頑張ろう!」「うちも出血です。エイヤで見積もり出してみました!」などと覚悟のほどを見せる時に使われた。
【ペライチ】(意味:1ページだけの書類)
かつては、鉛筆・万年筆で書く時代だった。そのせいもあり、昭和のビジネスマンには長々とした企画書は、作るのが面倒。必要かつ十分な資料をA4サイズ1枚の用紙にまとめて取引先企業に乗り込んだり、「企画書、ペライチでお願いします」と相手に頼んだりした。
【イッテコイ】(意味:プラスマイナスゼロ・とんとん)
もともとは相場が上がった後に元に戻る金融業界の言葉。「セールで利益が出ても、アルバイトの人件費でイッテコイだよ」などと使われた。
【ガッチャンコ】(意味:合わせて・まとめて)
列車の車両同士を結び付ける連結器の音から生まれた言葉とされる。「君のチームの会議も、僕のチームの今日の会議とガッチャンコでやっちゃおう」「あの企画書、前の書類とガッチャンコしてくれる?」といった感じで使われた。単に「会議を合同でやろう」と提案するより、力強さがみなぎってくる。