「日本株離れ」防ぎ、投資家呼び込む
SXの中には、GX(グリーントラストフォーメーション=クリーンなエネルギーを活用していくための変革や、その実現に向けた活動)も内包されている。
伊藤レポートでは、GXを「気候変動をはじめとする幅広いサステナビリティ課題を対象とするSXの中に位置づけて取り組む」ことを求めている。
経済産業省ではSX銘柄を通じて、投資家との対話を通じて自社の成長にサステナビリティ課題を取り込むなどして、長期的かつ持続的な企業価値の向上を促していきたいとしている。
「SX銘柄」の創設には、「日本株離れ」を防ぎたいとの狙いもある。
SX銘柄を公表することで、(1)企業経営者の意識変革を促し、投資家との対話、エンゲージメントを通じた経営変革を期待。そのうえで、(2)国内外の投資家に対して、こうした日本企業の変革の方向性を知らせることで、今後の日本株全体への再評価と新たな期待形成につなげていく。
「SX銘柄2024」発表後には、国内外の投資家に向けてアピールすることを検討する方向で、イベントなどで大々的に紹介していく計画という。
こうした経産省と東証の取り組みは、これまでに「なでしこ」銘柄や「DX(デジタルトランスフォーメーション)銘柄」がある。
「なでしこ銘柄」は、2012年度から実施。女性活躍推進に優れた上場企業を、中長期の企業価値の向上を重視する投資家にとって、魅力ある銘柄として紹介する。それを通じて、企業への投資促進と、企業の女性活躍やジェンダー平等の取り組みを加速することを狙ったものだ。
なでしこ銘柄には、カルビーや味の素、伊藤忠商事、J.フロントリテイリング、三菱UFJフィナンシャル・グループ、帝人、オムロン、島津製作所などが選ばれている。
なでしこ銘柄はTOPIX、売上高営業利益率のどちらにおいても他の銘柄と比べて高い数値を示す、優良銘柄といえる。