注目集まる!2023年度「税制改正大綱」 住宅売買&相続関連事項に、大きな変化...専門家が解説(中山登志朗)

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4.相続空き家売却益3,000万円特別控除の対象拡大

   相続または遺贈によって取得した空き家および敷地等の売却益(=譲渡所得)を控除することができる「相続空き家の3,000万円特別控除」は、2023年度税制改正によってその対象が拡大します。

   これまでは1981年5月31日以前に建築された住宅を、解体もしくは耐震リフォームして売却した際の売却益(区分所有物件ではないことと相続開始前に被相続人以外に居住者がいないことが条件)について最大3,000万円までの特別控除が適用されていました。

   改正後は、売却後に買主が解体もしくは耐震リフォームした場合も、控除の対象とされることになりました。ただし、買主による解体・耐震リフォームは売却した年の翌年の2月15日までに実施しなければならないことに留意してください(例年2月16日から確定申告期間に入るため)。

   このように、2023年4月以降は、住宅や不動産の相続に関連する税制がいろいろと大きく変わっていく節目になります。

   また、2023年度の税制改正大綱には、特にマンションの相続税評価について項目が設けられました。そして、市場での売買価格と相続税評価額が大きく乖離しているケースについて、「相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離との実態を踏まえ、適正化を検討する」旨明記されました。

   したがって、国交省で有識者会議などを開催し、年内をめどとして2024年度の税制改正大綱にいわゆるタワーマンション節税への対応策が盛り込まれる可能性が極めて高くなっています。

   不公平感を助長するような節税は今後許さないという国税当局の厳格な税制運営への姿勢が明らかですから、該当する方は租税回避行為との指摘を受けないよう、慎重に対応することが求められます。(中山登志朗)

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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