2.贈与税の暦年課税と相続時精算課税制度の見直し(65年ぶりの大改正)
両親や祖父母から子や孫に資産継承するには、「贈与」あるいは「相続」という法的手続きを経る必要があります。ところが、贈与税も相続時精算課税も、非課税枠や控除制度の利用について、別途手続きが必要で、資産継承の障害との指摘が以前からありました。
これについて今回見直しが行われ、2023年4月から、贈与税の「暦年課税」と「相続時精算課税」の制度が改正されます。
(1)相続税に加算する生前贈与の期間を7年に延長:これまで相続開始前3年間の贈与については生前贈与として相続税加算の対象でしたが、これを7年に延長することにより、いわゆる「駆け込み贈与」を抑制し、より計画的に早い段階での資産継承を促進することが真の目的とされています。
(2)相続時精算課税制度の簡略化:これまで相続時精算課税制度の適用を受けるには「相続時精算課税選択届出書」の届出が必要で、贈与を受ける毎に確定申告しなければなりませんでしたが、年間110万円までの贈与であれば確定申告が不要になります。簡易になったことで利用者が増えるものと考えられます。
上記2点の改正は、2024年1月1日以降の贈与によって取得された資産にかかる贈与税、および、相続税に適用されます。ですので、相続すべき財産を保有されている方は、2023年中に「駆け込み贈与」の対応が必要です。詳細は専門家にご相談されることをお勧めします。