2023年3月も食品値上げラッシュ! 冷凍食品、菓子、缶詰...昨年の3倍ペース、8月に2万品目突破...「小分け&小幅」値上げ繰り返しがトレンドに

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   2023年3月に入り、食品値上げラッシュが続いている。

   帝国データバンクが2023年2月28日に発表した「『食品主要195社』価格改定動向調査 2023年3月」によると、3月の値上げは3442品目に達し、収束する気配はまったくない。

   むしろ、コスト増の長期化を見越して、「1回での大幅値上げ」から「小分けした小幅な値上げ」を繰り返す動きが目立ってきたというから厄介だ。

  • 高すぎてスーパーの買い物で迷う(写真はイメージ)
    高すぎてスーパーの買い物で迷う(写真はイメージ)
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菓子、チルド麺、チーズ、納豆、豆腐、缶詰、オリーブオイル...

   報道や食品各社のプレスリリースなどをまとめると、すでに発表した2023年3月に値上げされる主な食品は次の通りだ(業務用を除いた家庭用商品)。

【冷凍食品など】
▼ニップン=「海鮮チヂミ」「ペペロンチーノ」など冷凍食品60品目を約3%~13%値上げ。
▼江崎グリコ=カレー&シチュー製品など80品目を約3%~10%値上げ。
▼日清食品冷凍=ラーメンや焼きそば、パスタなどの冷凍麺43品目を約6%~20%値上げ。
▼日清食品チルド=ラーメンなどのチルド麺106品目を約7%~17%値上げ。
▼ニッスイ=ちくわやカニ風味かまぼこなどすり身製品63品を約8%~30%値上げ。缶詰のサンマのかば焼きや瓶詰のタラコ製品など50品目を約4%~28%値上げ。
▼菊水=麺類と麺具材34品目を約4%~20%値上げ。
▼ベル ジャポン=チーズ7品目を約6%~13%値上げ。
▼フジッコ=昆布や豆製品、総菜など49品目を約4%~36%値上げ。
▼タカノフーズ=納豆や豆腐など全品目を約12%~20%値上げ。
▼はごろもフーズ=コーンやフルーツ缶詰、かつお節など118品目を約7%~47%値上げ。
【食用油・調味料など】
▼日清オイリオ=オリーブオイルやごま油など食用油41品目を約5%~36%値上げ。
▼キッコーマン=「デルモンテ」ブランドのトマト調味料や飲料など94品目を約7%~24%値上げ。
▼ミツカン=ぽん酢商品15品を約5%~14%値上げ。
▼ネスレ日本=「マギー」ブランドのブイヨンやコンソメ6品目を約7%~10%値上げ。
▼理研ビタミン=和風だしの素4品目を出荷価格で約12%~13%値上げ。
▼キユーピー=「あえるパスタソース」などの調理食品34品目と半熟卵1品目を約6%~19%値上げ。
お菓子の値段がどんどん上がる(写真はイメージ)
お菓子の値段がどんどん上がる(写真はイメージ)
【菓子類・アイスクリームなど】
▼森永製菓=「ミルクキャラメル」「ミルクココアスティック」など菓子84品目を約3%~21%値上げ。「パックンチョ」「ミルクココア」など5品目は内容量を約8%~20%減らし、実質値上げ。
▼不二家=「カントリーマアム」など菓子24品目を約6%~14%値上げ。菓子4商品は内容量を減らし実質値上げ。7粒入りの「ミルキー」は6粒に。
▼ネスレ日本=「キットカット」ブランドの菓子11品目を約9%~13%値上げ。「キットカット ミニ」など菓子の一部は内容量を1枚減らすなどして実質値上げ。
▼湖池屋=ポテトチップス17品目で、製品の仕様の変更と併せて値上げや内容量を減らす実質値上げ。このうち13品は約3%~10%程度の値上げになる見通し。
▼有楽製菓=菓子6品目を約8%~16%値上げ。「ブラックサンダーミニバー」など7品は内容量を減らし、実質値上げ。
▼明治=アイスクリーム18品目を約4%~9%値上げ。
▼ロッテ=「雪見だいふく」や「爽」などアイスクリーム19品目を約6%~28%値上げ。
▼森永製菓=「チョコモナカジャンボ」など冷菓9品目を約5%~9%値上げ。
▼オハヨー乳業=アイスクリーム類18品目を約4%~10%値上げ。
▼森永乳業=アイスクリーム21品目、飲料12品を約5%~14%値上げ。
【飲料・酒類など】
▼ネスレ日本=スティックタイプのコーヒーなど飲料製品88品目を約10%~25%値上げ。
▼レッドブル・ジャパン=「レッドブル・エナジードリンク」など6品目を約4%~7%値上げ。
▼サントリー=「ジムビーム」をはじめとした海外ウイスキーなど輸入酒170品目を約3%~28%値上げ。

   こういった案配だ。

「卵」の異常な高値と「輸入小麦」の動向が心配

   帝国データバンクの調査によると、食料品の値上げ品目数は、今年2月までに累計1万5813品目に上った【図表1】。

(図表1)2023年の食品値上げの月別品目数(2月28日現在)(帝国データバンクの作成)
(図表1)2023年の食品値上げの月別品目数(2月28日現在)(帝国データバンクの作成)

   このうち3月単月の値上げは、ちくわをはじめとする水産加工品や冷凍食品などの加工食品、煎餅やチョコレート、アイスクリームなど菓子類を中心に3442品目となり、前年同月(1760品目)に比べて約2倍に達した。

   特に菓子類の値上げ品目数は、単月としては2022年9月(453品目)を上回り最多を更新した。

   そのうえ4月には今年最多の2月(5528品目)に迫る4892品目が決まっており、5月以降も合計1300品目超の値上げがすでに予定されている。値上げラッシュは今春を「ヤマ場」としながらも、収束の気配は見せていない。

   【図表2】は今年に入ってからの値上げの動向と、昨年の値上げペースを比べたグラフだ。これを見ると、今年1~4月までの累計品目数(1万4451品目)は、前年と同じ時期(2022年1~4月:5573品目)に比べて3倍ペースで推移している。

(図表2)実施ベースでの食品値上げの動向(帝国データバンクの作成)
(図表2)実施ベースでの食品値上げの動向(帝国データバンクの作成)

   また、2022年に実施された値上げでは、1万5000品目を突破するのに要した期間が9か月だったのに、2023年はそれより4か月早く到達する見込みとなる。8月にも予定ベースで累計2万品目を突破する勢いだ。

   2023年に予定される値上げの理由を聞くと、値上げ済み・予定の計1万5813品目のうち、原材料高が理由となったものは98%以上(品目数ベース)を占め、ほぼすべての商品で理由にあげられた【図表3】。

(図表3)2023年の食品値上げの原因別(帝国データバンクの作成)
(図表3)2023年の食品値上げの原因別(帝国データバンクの作成)

   一方で、原油高などのエネルギー(86%)、プラスチック容器などの包装・資材(70%)のほか、円安(21%)なども理由にあがった。物流コストや輸入コスト上昇が続いており、製品価格へ緩やかに反映する動きが目立っている。

   帝国データバンクではこうコメントしている。

「2023年の食品値上げは4月までに1万5000品目を突破する見込みで、値上げの動きが早期に収束する気配はまったく見られない。こうしたなか、足元では『1回での大幅値上げ』から、コストアップの長期化を見越し、柔軟に価格を改定する『複数回・小分けした小幅な値上げ』へのトレンド変化がみられる。
そのため、月ごとの値上げは加工食品や菓子などを中心に2022年に比べ多くなる見通しで、2023年の値上げ品目数累計は8月にも2万品目を超える可能性がある。
今後は、4月に控える『輸入小麦』の価格改定に加え、すでにマヨネーズなどの値上げに影響を及ぼしている『鶏卵』の供給動向が注目される。また、物流コストや容器代などのコスト増による値上げが、小型ペットボトル製品やビール・RTD飲料(『Ready To Drink』の頭文字を取ったもので、ふたを開けるとそのまま飲めるアルコール飲料)にも及ぶかが注視したいポイントとなる」

(福田和郎)

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