「卵」の異常な高値と「輸入小麦」の動向が心配
帝国データバンクの調査によると、食料品の値上げ品目数は、今年2月までに累計1万5813品目に上った【図表1】。
このうち3月単月の値上げは、ちくわをはじめとする水産加工品や冷凍食品などの加工食品、煎餅やチョコレート、アイスクリームなど菓子類を中心に3442品目となり、前年同月(1760品目)に比べて約2倍に達した。
特に菓子類の値上げ品目数は、単月としては2022年9月(453品目)を上回り最多を更新した。
そのうえ4月には今年最多の2月(5528品目)に迫る4892品目が決まっており、5月以降も合計1300品目超の値上げがすでに予定されている。値上げラッシュは今春を「ヤマ場」としながらも、収束の気配は見せていない。
【図表2】は今年に入ってからの値上げの動向と、昨年の値上げペースを比べたグラフだ。これを見ると、今年1~4月までの累計品目数(1万4451品目)は、前年と同じ時期(2022年1~4月:5573品目)に比べて3倍ペースで推移している。
また、2022年に実施された値上げでは、1万5000品目を突破するのに要した期間が9か月だったのに、2023年はそれより4か月早く到達する見込みとなる。8月にも予定ベースで累計2万品目を突破する勢いだ。
2023年に予定される値上げの理由を聞くと、値上げ済み・予定の計1万5813品目のうち、原材料高が理由となったものは98%以上(品目数ベース)を占め、ほぼすべての商品で理由にあげられた【図表3】。
一方で、原油高などのエネルギー(86%)、プラスチック容器などの包装・資材(70%)のほか、円安(21%)なども理由にあがった。物流コストや輸入コスト上昇が続いており、製品価格へ緩やかに反映する動きが目立っている。
帝国データバンクではこうコメントしている。
「2023年の食品値上げは4月までに1万5000品目を突破する見込みで、値上げの動きが早期に収束する気配はまったく見られない。こうしたなか、足元では『1回での大幅値上げ』から、コストアップの長期化を見越し、柔軟に価格を改定する『複数回・小分けした小幅な値上げ』へのトレンド変化がみられる。
そのため、月ごとの値上げは加工食品や菓子などを中心に2022年に比べ多くなる見通しで、2023年の値上げ品目数累計は8月にも2万品目を超える可能性がある。
今後は、4月に控える『輸入小麦』の価格改定に加え、すでにマヨネーズなどの値上げに影響を及ぼしている『鶏卵』の供給動向が注目される。また、物流コストや容器代などのコスト増による値上げが、小型ペットボトル製品やビール・RTD飲料(『Ready To Drink』の頭文字を取ったもので、ふたを開けるとそのまま飲めるアルコール飲料)にも及ぶかが注視したいポイントとなる」
(福田和郎)