システム開発の「地雷ポイント」とは?
「週刊東洋経済」(2023年3月日号)の特集は、「文系管理職のための失敗しないDX」。すべての事業活動がデジタル化に向かう今、非IT人材の管理職にも相応の知識とスキルが必要だという。
開発の失敗例として、NIPPON EXPRESSホールディングスの基幹システムの開発中止とそれに伴う特別損失の計上を挙げている。子会社・日本通運は「新・国際航空貨物基幹システム」の開発を進めていたが、開発コストの増加、期間の延長が見込まれることから断念。154億円の減損損失を2022年12月期決算に計上した。
こうした失敗は、今後中小企業でも顕在化すると見られる。システム開発の手順に沿い、いくつかの地雷ポイントについて解説している。
解決したい問題は何か? 何をつくりたいか? システム開発の起点となる「企画」が最初にある。
次に、企画を実現するための要件=必要な条件を整理する「要件定義」をする。地雷ポイント1だ。これには2種類あり、「業務要件定義」と「システム要件定義」だ。もともとの企画が実現できるか、IT投資額は妥当か、今後のスケジュールの余裕度などがポイントになるという。丸投げは絶対にNGだ。
地雷ポイント2は「パートナー選定」。開発規模に合わせて発注先を選ぶ。開発費用は、基本的に人月(開発工数)×単価で計算される。報酬単価の相場を示している。優秀な上級システムエンジニアになると月200万円程度になることもあるという。
地雷ポイント3は「契約」だ。「請負契約」か「準委任契約」があり、後者には作業した時間に対して報酬を支払う「履行割合型」と、得られた成果物に対して支払う「成果完成型」がある。請負契約か準委任契約かを明確にしていなかったことで、裁判になったケースもあるという。工程ごとに最適な契約形態を選ぶことを勧めている。
この先の地雷ポイントとして、4「テスト」、5「運用」、6「UI(使い勝手)・UX(魅力的な体験価値)設計」、7「デザイン発注」について分かりやすく説明している。文系の管理職にとって、心強いアドバイスになるだろう。
データをそろえて、サイトにアクセスするだけという、はやりの「ノーコード」についての記事も参考になるだろう。グーグルが提供するアップシートだ。アプリ開発の作業がほとんど必要ないというものだ。10人以下の比較的小規模な部署なら無料枠で使える。データの閲覧と更新のみに割り切れば、職場でも導入しやすいだろう。
500以上あるノーコードツールの中から、目的別のおすすめツール12選を紹介している。非IT人材でもIT導入の一連の流れを理解し、最適化に向けて実際に手を動かせるメリットを強調している。