子どもが全国転勤のある企業に就職希望...賛成する親15.1% 「勤務地ガチャ・配属ガチャ」あるから?
「勤務地ガチャ・配属ガチャ」や「オヤカク」という言葉がポピュラーになっているように、最近、転勤のある企業の子どもを就職させない親が増えている。
そこで、子どもが全国転勤のある企業に就職を希望した場合、賛成するかどうか聞くと、賛成する親はわずか15.1%で、約3割の29.9%は反対すると答えた【図表2】。
子供の勤務地が定まらないことに対して、かなりの割合の親が懸念を抱いていることがわかる。子どもの男女別にみると、息子を持つ親は18.0%が賛成、22.6%が反対。だが、娘を持つ親になると、賛成は12.2%とさらに少なくなり、反対が36.6%と4割近くにも増える。これでは、企業側も内定の段階で「親への確認」が欠かせなくなるだろう【図表2】。
最後に、子どもの就職活動を間近に見て、「Z世代らしさ」を感じたエピソードを聞くと、こんな意見が返ってきた。
「何でもスマホでさっと調べ、行動する」(母親) 「スマホで情報を知ることができるので、パンフレットは要らないと言われた」(母親) 「キャリアセンターともSNSでやりとりして、無駄なく就職活動をしていた」(母親) 「就職先の担当者ともLINEで連絡を取り合っている」(母親) 「情報収集がインスタやTikTokであること」(母親)
デジタルネイティブ世代らしい情報収集の早さに舌を巻く親が多かった。
一方では、こんな危惧も――。
「日頃からLINEなど非対面で、短い文章ばかりのやりとりをしているので、エントリーシートの文章や面接の受け答えが、平坦で抑揚がなく、下手だと思った」(母親) 「面接がほぼオンラインでも問題がなく、逆にそのほうがよい印象」(母親) 「最後まで会社に行かない活動が多かったのですが、オンラインのほうが楽でいいと本人が言っていた。私なら不安になるかもと思った」(母親) 「足を使って説明会などに赴くのは最小限で、オンラインや先輩OBなどとの懇親会も、ネットを通じて行なっていたところが、世代を感じた」(母親)
足にマメを作って企業訪問に歩いた自分世代とのギャップに驚いたようだ。しかし、働くことに対する自分なりのこだわりを持つ価値観の違いには、一定の評価を与えていた。
「出世や、やりがいを1番には考えず、休みがある程度保証される職場を選んだ」(母親) 「夫のように長時間労働や休日出勤をするのは、古くてダサイと断言している」(母親) 「給与水準にあまり固執していないように見える」(父親) 「給料や昇進よりも、自分の好きな職業を選んだこと」(母親)
子どもの就職活動に寄り添うことで、親世代も働くことについて自分も「学び直し」を深めているようだ。(福田和郎)