情報収集の速さ、そして働くことに対する価値観の違い...。Z世代の就職活動は、親から見ても驚きのようだ。
就職支援サービスの「マイナビ」(東京都千代田区)が2023年2月8日に発表した「2022年度の就職活動に対する保護者の意識調査」によると、「足を使って説明会に赴くのは最小限」「出世よりも休みを重視」など、就職活動でも「効率重視」「自分流」のZ世代像が浮かび上がってくる。
就活中の恋愛「リクラブ」を知らない親がほとんど
マイナビの調査は、2023年(2022年度)に就職活動を終えた、もしくは現在活動中の大学4年生・大学院2年生以上の子どもを持つ保護者1000人が対象だ。
まず、就活生にとっては基本的な、いわゆる「就活用語」を知っているかどうか聞いた。ふだんから、子どもとコミュニケーションを持ち、就職活動に寄り添っているかを測る大事な要素だからだ。次の言葉の中から、知っているものを選ばせた(カッコ内の解説は、会社ウォッチ編集部作成)。こんな言葉だ。
「ガクチカ」(面接でよく聞かれる『学生時代に力を入れたこと』の略) 「お祈り」(選考で落ちること。不採用通知の決まり文句『今後のご活躍をお祈りしております』から) 「サイレント」(選考の結果の連絡が来ないこと。合格なら、企業から必ず連絡があるので、不合格であることを示す) 「ES」(エントリーシートの略) 「NNT」(『無い内定』の略。内定が取れていないツライ状態。反意語:ANT(有る内定) 「GD」(グループディスカッション) 「GW」(グループワーク。少人数のグループに、店舗経営のシミュレーションや商品開発の企画立案などの課題を与え、共同で作業させること) 「グルディス」(グループディスカッションの略) 「クラッシャー」(グループディスカッションで、繰り返し議論を妨害するたちの悪い学生) 「グル面」(グループ面接) 「オワハラ」(『就活終われハラスメント』の略。企業が内定を出した学生に対して就職活動を終了するよう強制すること) 「御社」(選考受験中の企業のこと。転じて、日常から就職活動モードに突入することを指す。面接に行くことを『御社する』などと表現) 「終活」(就職活動を終えるための活動。入社予定先以外の企業に内定辞退をすることなど) 「リクラブ」(リクルート・ラブの略。就職活動中に知り合った相手と恋愛関係になること) 「勤務地ガチャ・配属ガチャ」(新入社員が希望する勤務地や職種に配属されるか分からないことを、カプセルトイの『ガチャガチャ』や、ソーシャルゲームの『ガチャ』に引っ掛けた言葉) 「オヤカク」(「親に確認を取る」の略。親の反対で内定辞退する例が多いため、企業が内定予定者の親に挨拶などをすること)
以上の言葉で知っているものを選んでもらった結果(複数回答可)、認知度1位は「お祈り」(20.1%)だった。次いで、「終活」(18.0%)、「勤務地ガチャ・配属ガチャ」(17.9%)、「ガクチカ」(17.8%)、「オワハラ」(12.0%)と続いた【図表1】。
このなかで唯一、就職活動中に子どもが楽しんだこと(?)と思われる「リクラブ」(0.6%)を知っている親がほとんどいないことは、親子双方にとって残念なことかもしれない。あるいは子どものほうが「秘すれば花」と隠したのだろうか。