流通関係者「供給不足は数か月続く」 厳しさ増す養鶏農家...餌代の負担大、電気代の高騰
この供給不足が解消される見通しはどうか。
野村哲郎農林水産相は22年12月、「正月明けになると少し落ち着いてくると思っている」と述べていたが、23年2月17日の会見で、「完全間違いというか先を見通す力がなかった。あと半年は待っていただかないと」と発言を修正した。
流通関係者の多くも「数か月は続くだろう」とみている。ひなから鶏を育て、卵を産むようになるには半年程度は必要だからだ。
そもそも原料高と円安で上昇した餌代の負担軽減が見込めそうもない中、電気代の高騰などもあって養鶏農家の経営はどんどん厳しくなっているという。現下の危機を機に、経営をやめてしまう農家も出てくるとの懸念も指摘されている。
流通関係者からは、「卵の値段はいつ戻るのかとよく聞かれるが、多くの食品は今、値上げラッシュが続いている。卵だけ当然のように下がると思われたら、生産者も売り手もたまらない」との困惑の声も上がっている。
卵は長い間、手ごろな価格で安定しており、「物価の優等生」と呼ばれてきた。そんな卵への見方を見直す時期に来ているのかもしれない。(ジャーナリスト 白井俊郎)