若手人材の採用難と離職が深刻化
少子高齢化と人口減少がハイスピードで進むなか、若手の人材不足と獲得競争が激しさを増しています。新卒大卒者の求人倍率は、コロナ禍の影響で一時は下がったものの、すでに回復基調。
加えて、各企業が頭を悩ましているのが、若手の早期離職の増加です。叫ばれて久しい大卒入社の「3年・3割離職」傾向は、収まりそうにありません。
若手向け転職サービスの利用状況をみても、企業間の人材引き抜き合戦が激化しています。かつては、転職希望者が企業情報を閲覧し応募していました。また、職場の人間関係、仕事がきついなどネガティブな理由も目立っていました。
しかし、今では企業側が転職希望の登録者を閲覧し、本人にアプローチするスカウト採用が台頭。転職を今すぐ考えているわけではない活躍層にも様々なスカウトが届くようになっているのです。
成長意欲の高い優秀な若手ほど、魅力的なオファーを提示されれば気持ちも揺らぐものです。みなさんも、転職サービスのCMをよく見かけると思いますが、若手人材やホープ人材については、質の異なる売り手市場傾向に転じているのです。
そこで、今回の導入CASEについて考えましょう。「働きがいが感じられない」と言って辞めていく若手に対し、A課長は厳しい評価。「給料分の仕事をするには目標達成が第一。それで、働きがいもついて来る。自分の努力次第」としています。さらに、「人事がもっと賃上げや福利厚生を充実すべき!」とも。
やはり、厳しい人材獲得競争のなかでは、賃金や労働条件など「働きやすさ」をできるだけ高めることで「働きがい」を増進することが、理に適うのでしょうか。この点を考察してみましょう。