最近、自己啓発系の書籍が増えています。しかし、その多くは同じような切り口で新鮮さがありません。今回紹介したいのは、少々前に発売された自己啓発書。良著であることから、ぜひ多くの人におススメしたい一冊です。人間関係をよくする話し方のヒントとは何でしょうか?
『はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法』(本田晃一著)SBクリエイティブ
人は「価値観」によって結びつく
人間関係を良質にするには、何が必要でしょうか。ひとつ言えることは、「価値観」の共有です。会社であれば、同じプロジェクトにアサインされたメンバーは、共通のベクトルで結びついているものです。このような場合、価値観を通じた相互理解がしやすいといえます。本田さんは次のように言います。
「ある男性は女性から『理想の父はアニマル浜口』と言われたんだそうです。『気合だ!気合だ! 気合だーっ!』と全身全霊でぶつかってくれる人がいいみたいですね。だから僕は、その男性にこうアドバイスしました。『かなり暑苦しく応援すると、すごくホットな関係になれると思うよ』。どうですか。楽しそうに見えませんか」(本田さん)
「逆に、悲しかった話の場合は次のようにしてください。ここは、共感がポイントです。人はなぜ悲しいのかというと、そばに誰もいてくれないからなんですね。だから、相手が『いてくれようとしているんだ』とわかると、悲しみは癒えていきます」(同)
相手の気持ちに寄り添っていけば、相手の悲しみや苦悩は癒されていくのです。しかし、この時にやってはいけないご法度があります。何でしょうか?
「『こうすればよかったんじゃない?』と言ってはダメなんです。相手の悲しみの庭に土足で踏み込むようなことはしないほうがいいです。ただただ聞いてあげるだけ。相手の気持ちに深くうなずいて聞いてあげればいいと思います」(本田さん)
「女は共感してほしい生き物、男は認めてほしい生き物。みなさんは、基本的に自分がしてほしいことを相手にしていると思います。基本的にそうすれば、人間関係はうまくいくはずです。でも実は、男と女ではそもそも思考が違うんです」(同)
男と女、思考の違いを理解する
本田さんのいう、男と女の思考はどのように違うのでしょうか。仕事をケーススタディとして考えてみます。あなたと同じチームの鈴木君が大阪出張に出かけたとします。上司から一日の流れを報告するようにと指示がありました。男性の場合、次のようなニュアンスになるのでは。
「東京駅10時発の新幹線に乗って、大阪へは12時半に到着した。待ち合わせまで時間があったので、既存顧客のA社を訪問した。その後、新規顧客S社を訪問し、提案をおこなった。17時の新幹線に乗り東京駅に着いたのは19時半だった。そのまま直帰した」
これは単なる事象の報告にすぎません。では、女性の場合は? 論理的か感情的か注目してください。
「乗るのは東京駅10時発の新幹線です。早起きしなければならなかったけれど、久々の出張でワクワクして目がさえちゃって眠れませんでした。お昼は道頓堀にある有名な和食屋さんで予約していたお刺身コースに舌鼓。もうお腹一杯です。夜は精進料理食べて、お土産を買ってから東京に戻りたいと思います」
女性からみたら男性の報告は「だからどうしたの?」というニュアンスでしょう。感情の抑揚もなく、一本調子でつまらないものです。一般的に、男性は論理的なので筋道や根拠、事実などを盛り込む傾向にあります。女性はエモーショナルで、男性はロジカルといえばわかりやすいかと思います。
さて、ここからが本題です。もし男が女に好意を抱いている場合、会話はどのようにすることが好ましいでしょうか。感情的な会話は女の心に響きやすいものです。「表現力」に富んだ会話をしなければなりません。そうでなければ、自分の気持ちは相手に届かないのです。つまり「成就」とはなりません。
本書は、わかりやすい身近なケースが紹介されています。くれぐれも申し上げておきますが、「はしゃいでいて」、それだけで夢がかなうわけではありません。ある程度、世の中の理不尽さを理解している人のほうが、「気づき」があるように思います。自分自身に謙虚になり、行動に移せる人なら、正しい道筋を見つけるヒントになることでしょう。(尾藤克之)