異質で巨大な隣国、中国のことをどれくらい知っていますか?

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デジタルで影響力広げる中国

   中国ではテック産業分野だけはベンチャー企業が群雄割拠し、巨大企業に成長するところが出ている。

   「チャイナ・イノベーション」(李智慧著、日経BP社)の副題は「データを制する者は世界を制する」。中国ではテック産業に対してどういう政策があり、どういう状況になっているかが書かれている。

   中川さんの自著「デジタル人民元」(ワニブックスPLUS新書)も取り上げている。

   中国が経済を政治のツールとして、どのように使っていくのかという観点で書かれた本。人民元を基軸通貨にマネージメントを多角化する中国共産党を侮るなかれ、と警告している。

   「チャイナ・アセアンの衝撃」(邉見伸弘著、日経BP社)は、コンサルタント的な、企業的な観点でデータに基づいて書かれた本。アセアン諸国と中国の結びつきは、我々が想像する以上に、加速度的に強まっているのが実態だという。経済的には中国に生殺与奪を握られているというのだ。

   「幸福な監視国家・中国」(梶谷懐・高口康太著、NHK出版新書)は、「監視されていることによって利便性が非常に高く、それを称賛とまではいかないまでも、十分に支持しているような一般の人民もいます」といった文脈で書かれているという。

   監視国家は、そこに住む人民にとって暗黒的だけなのか(いやそうでもなかろう)という視点がおもしろい、と評価している。監視の度合いが増すと、犯罪は減る。個人情報を取られるのと引き換えにしても、それを上回る便益があるとする考えだ。

   「デジタル化する新興国」(伊藤亜聖著、中公新書)は、中国で育ち、国内を巨大な実験場として実証実験を繰り返したチャイナデジタルテクノロジーがインド、東南アジア、そしてアフリカ諸国にまで広がっていることを書いている。

   新世代エンタメ・トレンドを示す本として取り上げているのが、世界的なベストセラーになったSF小説「三体」(早川書房)だ。

   中国では規制があるからSFが開花するのは無理と思われていたが、世界に通用してしまったことがショックを与えたそうだ。チャイナコンテンツの転換点と評価している。

   「中国テレビ番組ガイド」(岩田宇伯著、パブリブ)は、各地で視聴者が観られるチャンネルは数十から100近くにもあるテレビ番組の状況を紹介した本。プロパガンダと知りつつ楽しむ文化、たくましさが生まれている、と書いている。

   評者もケーブルテレビを通じて、たまに中国の番組を見ている。中国の公安警察が外国勢力と結託した産業スパイを摘発するという番組は、プロパガンダと思い見始めたのだが、これがエンタメとしても十分に成立している。

   異質で巨大な隣国、中国を知らずして日本は立ち行かないだろう。本書が取り上げたものを含めて、中国に関する本は読んできたつもりだが、読むべき本がまだまだ多いことに改めて気づかされた。(渡辺淳悦)

「現代中国がわかる最強の45冊」
中川コージ著
扶桑社
1870円(税込)

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